ゲームで適当に遊ぶ

ファミコン中心に、いろいろなゲームを遊んだ感想とか適当に

きろくに のこる じけん でしたね

 本当に久しぶりの更新です。間が開きすぎです。忙しい時期に入っちゃうと、どうしてもゲームをやる時間が確保できなくてね……。「最初からプレイしてクリアしてから紹介する」というスタイルを取っている以上、致し方ないことではあるのだけど。

 そういう訳で「久しぶりの更新はなににしようか?」と考えて考え抜いた結果、第31回の更新に選ばれたのはこのソフト! なんでこのソフトなんだよ!

ミシシッピー殺人事件

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 オリジナルはアクティビジョンが開発したコモドール64Appleアドベンチャーゲームで、ファミコンにはジャレコが移植を担当。実際に移植を担当したのは、ゲーム開発の下請け会社として有名なトーセみたいだけどね。ファミコン版発売は1986年10月31日。同時期に発売したゲームはうる星やつら ラムのウェディングベル』とか『スーパースターフォース 時空暦の秘密』迷宮組曲 ミロンの大冒険』など。ディスクシステムでは悪魔城ドラキュラが発売されていたりする。そんな時期のゲーム。

 

 この手の謎解きミステリ系アドベンチャーゲームとしては珍しい横スクロールタイプのサイドビュー画面構成で、全4層構想になっている豪華客船を行ったり来たりして手がかりや情報を収集していくという独特なゲーム性が特徴だ。もっとも、「こういう形式」のアドベンチャーゲームがほかにないわけじゃないんだけど。それこそ、第19回で紹介した『魔法のプリンセス ミンキーモモ』とか、『うっでぃぽこ』とか!

 

 

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 セントルイスを出港して、ミシシッピー川を下りながらニューオリンズへと向かう豪華客船デルタ・プリンセス号。世界に名だたる名探偵であるチャールズ・フォクスワース卿と助手のワトソンは、久しぶりの休暇を使い優雅な船旅を楽しんでいた。6月の晴れた昼下がり、気分も爽快。デッキを散歩がてら、ほかの乗客に挨拶をしようと思ったチャールズ卿は、ワトソン(オリジナル版だと「ワトソン」ではない!)とともに自室をあとにした。まさか、あのような痛ましい殺人事件が起きるとは夢にも思わず……。

 

 

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 というのが大まかなストーリー。探偵であるチャールズ卿が死体の第一発見者になってしまう展開はともかく、自己紹介もままならない状況で発見してしまったため「誰が死んでいるのか」すらわからない状態からスタート。船長を連れ出して死体の見分をさせ、身元を調べるところからはじめないといけない……というのは、刑事や刑事から依頼された探偵が主人公になることが多いミステリアドベンチャーとしては、わりと珍しい手法。珍しいからといって正しいとは限らないけどね! そもそも、船長が世界的に著名な探偵に頼まれたからといって、ホイホイと操舵室をあとにするのはどうかと思うんだけどな! 省略されてるだけでほかに船員がいるとしてもね!

 

 

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 デルタ・プリンセス号には全部で28の船室と操舵室が存在。乗客は被害者のブラウン氏に慈善事業家のウィリアム氏、判事のカーター氏、富豪の未亡人であるヘレン氏、そしてデイジーテーラー。それに船長のネルソンと船員のヘンリー、そしてチャールズ卿とワトソン。大型客船なのに乗客が少ないというのは気になるところ。まぁ、これ以上乗客が多いと捜査するのも大変だし、こんなところかもしれない。ちなみに、デイジーテーラーは売春婦という設定で、それをほかの乗客から悪く言われたり、罵られたりする。デルタ・プリンセス号はいわゆる外輪船だし、おそらく時代設定としては19世紀(『トム・ソーヤの冒険』と同じぐらいの時期?)なので、一人旅をする女性は大金持ちか売春婦……という論法だったのだろうけど、なかなかに凄い設定だ。ともあれ、いろいろと規制がゆるい時代だったとはいえ、ファミコンで堂々と「売春婦」という文字列が表示されるのは、わりとすごいことだったりするのかもしれない。

 

 

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 怪しいところを調べて証拠を探して……といきたいところだけど、いろいろなことがわりとノーヒントで展開していくのも特徴。自室のドアの上にひっかかってる"何か"を取るために必要なフックの入手方法とか、そもそも自室のドアの上に“何か”がひっかかってるのに気づくとか、いろいろノーヒントすぎる。近づいて「さがす」コマンドを実行しないと証拠には気づかないし、特定の順番で行動しないと証拠品がでてこないなど、黎明期ならではの「不親切すぎる作り」は随所に。

 

 

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 そもそも会話自体、一度聞いたことは「もう話しました」と出てしまい、うっかりメモし忘れ(会話内容をメモするというコマンドがある)ると、そこで詰んでしまう。しかもメモは1人につき3点までしかできず、なんでもかんでもメモしていくと、それはそれでやはり詰んでしまう。ちょっとした他愛のない内容でも、証言としては重要だったりするのがこのゲーム。一般的なコマンド式と違って「総当たりでチェックしていけば、いつかなんとかなるということがないのがつらい。

 

 

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 というか、まず移動速度が遅い(オリジナルのコモドール64版はそこまで遅くないらしいが、やったことないので知らん)のに、そこかしこに即死トラップが仕掛けられているというのがタチ悪い。有名な落とし穴とか、まっすぐ飛んでくるナイフとかね! これは「何もない部屋に入れるようにしてしまった」ファミコン版にスリルと緊張をもたらすために導入されたものらしいんだけど、理不尽にもほどがあるんだよな……。もっとも、コモドール64版は「部屋に入るとき、ランダムで首をへし折るトラップが仕掛けられている」らしく、ファミコン版はこれでも優しくなってるのだとか。あと、なぜか階段を上り下りするとき、途中で1回止まる。なんでだろう?

 

 

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 集めた証拠は自室の机で調べられる。いちいち机に乗せて、調べて……を繰り返さないといけないのが少しだけ面倒。比較したい証拠は同時に机に乗せないといけないとかの手間は「なんか捜査している」感があって嫌いじゃないんだけどね。

 

 

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 いろいろな証拠と証言を集めたら、いよいよ告発タイム。犯人に「告発する」ことを宣言して、それが正解ならば推理披露タイム。コモドール64版だと部屋に乗客全員がそろうのだけど、ファミコン版は入れ代わり立ち代わり乗客と船員がやってきては、今回の事件の裏にあったお話を語りだす……。というか、証拠を集めて真相にたどり着いたのはいいのだけど、「なんでその結論に至ったか」がイマイチわかりにくいんだよなぁ、このお話。状況証拠じゃなく、証拠からの推論でしかないのよね。

 

 

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 そして、犯人と乗客によるさまざまな告白。突発的な衝動にかられての犯行と主張しているけれども、毎日決まった時間に鳥を撃つのが趣味のカーターの発砲音にあわせて犯行に至ったり、錯乱状態に陥っていたとかいいつつも顔なじみのヘンリーのところに行って相談したり、凶器を川に投げて証拠隠滅しようとしたり、痕跡をコロンで掃除したりと、どう考えても計画的犯行です。ありがとうございます。しかも、居合わせた乗客たちは被害者であるブラウンを罵倒しはじめ、犯人をかばいだてる。ヘンリーは犯人のことを昔から知っていたみたいだし、判事すら犯人の擁護をしはじめる始末。

これ、乗客全員がグルの犯行だよ!

 いわゆるオリエント急行殺人事件状態。いや、明確に作中では「全員が結託しての犯行」ということは言われてないんだけどね。でも、どう考えても、そうとしか思えない供述が続くわけですよ。このトリックというか結末自体は別にいいんだけど、だったらもうちょっと「そういう風なこと」をにおわせてほしかったなぁ……と。いや、原題が『オリエント急行殺人事件』の原題『Murder on the Orient Express』を意識した『MURDER on the MISSISSIPPI』だから、ここで気づくべきなのかもしれないけど。

 

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 正直なところ、黎明期の作品としてもわりと「これ、どうなの?」と思わないでもない展開の本作。誤訳や誤字だと思われる個所も多く、そのせいで意味がわからなくなる部分もあったり。そもそも今回のタイトルになっているエンディングにおける助手の台詞も、おそらくは「記憶に残る事件」と言いたかったのではないだろうか。

 

 コモドール64版やAppleⅡ版との違いを詳しく解説しているサイトがあったりと、なんだかんだで愛されているゲームだったりするし、きちんとプレイしてみて「正直、世の中でいわれるほどのクソではない」と思ったけど、だからといって「これって実はすげぇ面白いんじゃないのか?」と再評価できるほどの出来でもない……かな、と。さすがに順番を間違えるだけで詰みになってしまう……どころか、コマンドを1つ間違えただけで積み重ねが無駄になるというのは、あまりにもひどすぎる(コモドール64版はセーブ機能があって、中断データから捜査を再開できたらしいので、トライアンドエラーが比較的ラクに行えたけど、ファミコンは最初からやりなおしだからね)。これ、当時攻略本などを見ずにクリアできた人ってどのぐらいいたんだろうか。

 

 

 そんなこんなで久方ぶりの更新もここで終わり! 記録に残るゲームでしたね。今年中にあと2本ぐらいは更新したいところだけど、いけるかどうか……。次回更新は「そんなトリックが通用すると思ったのか! といいたくなる推理ゲーム」か「最近、引退宣言をなされた大漫画家原作ゲーム」か「最近、逝去なされた世紀のハンサムボーイ原作ゲーム」か、あるいは「海外移植がなんでこんなことに……」か。なんにせよ、きっちり更新していきたい! 志だけは大きく!