もっともっとこまめに更新したいと思いつつも、ダラダラしちゃうんですよね……。それにほかのゲームも面白いので。そろそろファミコン以外のソフト紹介をしてもいいのかなぁ……なんて、つらつらと。
それはさておき。
というわけで、今回の紹介タイトルはこちら! 第33回!
オリジナルは1985年5月29日に稼働を開始した、横スクロールシューティングゲームの金字塔というかマイルストーンというか、とにかくポジションの作品で、発売はコナミ。1981年に稼働を開始した同社の歴史的傑作『スクランブル』の続編として、当時アーケードで猛烈な人気を誇っていた『ゼビウス』を超えるゲームを目指して開発されたとか。そして、その『ゼビウス』の開発自体が「『スクランブル』を縦シューにしよう」からスタートしているというのは面白い話だよね。
複雑な地形を対空攻撃と対地攻撃を使いながら進むという点は『スクランブル』、そして続編とされる『スーパーコブラ』から継承されたが、一番の特徴はパワーアップシステムだろう。特定の色をした敵を倒すと出現するパワーアップカプセルを獲ると画面下にあるパワーアップゲージが変動し、ゲージが点灯しているときにパワーアップボタンを押すと対応する位置に書かれた効果が自機に適用されるのだ。文章で書くと、微妙にわかりにくいね!
それまでにも自機がパワーアップするシューティングゲームは多数あったものの、パワーアップカプセルを集めて任意にパワーアップできるという仕組みは当時のユーザーに驚きを持って迎えられ、このパワーアップシステムが「グラディウスタイプ」と呼ばれるようになったとかならないとか。とはいえ、実際には任意選択タイプのパワーアップってグラディウスシリーズ以外ではあまり見ないんだよね。ぱっと思いつく範囲だと『忍者ハットリくん』とか『スラップファイト』とか『ヴイ・ファイヴ』とか。
自機はシューティングゲーム三大名機と称しても過言ではない超時空戦闘機ビックバイパー。よくビッグパイパーと間違えられるけど、ビック。ここ、テストに出ます。ちなみにビックはVic、つまりV字編隊を意味するVic formationと、特殊武装であるオプションが機体を追随する様子が毒蛇(Viper)に見えることから来ているとか。言及はされてないけど、Victoryとの掛詞でもあるんだろうけど。さらに余談ではあるけれども、リリース直後のタイトルは『超次空ファイター グラディウス』で、グラディウスが自機名前だったのだ。今では「グラディウス」は戦場になった惑星の名前だけどね!
さらに余談になるけれども、ビックバイパーはシリーズごとにモデルが異なり、本作におけるビックバイパーはMODEL BP-456X 。『Ⅱ』ではBP-827Z、『Ⅲ』ではBP-5963と設定されていたり。ただ、この設定は『Ⅴ』の初回特典に付属していた『ビックバイパー開発史』には反映されていないので、今では死に設定になった可能性も。
ビックバイパーの基本武装は画面中に2発まで発射できる機関砲。赤い敵を破壊すると出てくるカプセルを獲ってゲージを貯め、パワーアップできるのが最大の特徴だ。パワーアップの種類は6種類。1段階目はスピードアップ。最大で5段階まで加速する。初期段階は本当に遅いので、最低でも2速ぐらいにはしておきたい。ただ、スピードダウンはできないので、制御できない速度にするのはやめておこうね!
2段階目はミサイル。ミサイルの定義(自律誘導で目標に向かって移動する推進装置を備えた投射兵器)的に本来は「ミサイル」ではないのだけど。地形に沿って走る高威力の弾で、ハッチも一撃で粉砕。ただ、発射したミサイルがすべて画面から消える(画面の外に行くor敵か障害物に当たる)まで再発射できないので、意外と発射するタイミングが難しい武器でもある。うかつなミサイル連射は死を意味する!
3段階目はダブル。正面だけでなく前方斜めに機関砲を発射できるようになる。が、普通は2連射可能な機関砲が上下1発ずつになってしまうというトラップも。複雑な地形以外では後述のレーザーのほうが強く、またテクニックを使いこなせるなら、わざわざダブルを使う必要はないのよね。ああ、つらい。
4段階目はレーザー。レーザー強いぞレーザー(別のゲームです)。青白い軌跡を描きながら直進する美しい兵器。ちなみにこの青白い光は視認用のトレーサーが輝いているもので、レーザーが持つ破壊エネルギー自体は見えないとかなんとか。一撃で倒せる敵は貫通するけれども、障害物や破壊不能オブジェクトは貫通せずにストップさせられてしまう。しかし、レーザーの現在位置は自機のY軸に依存しているため、レーザーが伸びている間に自機を上下に移動させると、結果的に障害物を貫通して攻撃できるのだ! これぞ! 必殺レーザーワインダーなりっ! これはストーンヘンジやモアイステージ、要塞ステージなどで重要となってくるテクニックなのだ。
5段階目はオプション。またの名をマルチプル。最近は独立機動弾子なんていう名称がついているとかなんとか。自機の動きと軌跡にシンクロして移動し、自機とまったく同じ攻撃をするというステキなパワーアップ。しかも敵の攻撃に対しては無敵。無敵ですよ奥さん。オプションは同社の『ツインビー』においてデビュー済み(分身)なのだけれども、これはこれで衝撃を与えて、いろいろな亜流を生み出していくことに。
6段階目は?ことバリア。前方から飛んできて、敵弾などの攻撃を防ぐ万能シールドだ。六芒星っぽい形をしていて、攻撃を受けたり地形に接触したりすると小さくなっていく。当然ながらバリアにしか無敵効果はなく、背後からの敵弾などには無防備のままだったりする。のちのシリーズや移植作では全体に無敵効果を与えるフォースフィールドなどが用意されたりするけど、それはまた別のお話。
そんな武装を使いながら全7ステージを突き進むのが本作。各ステージの序盤は前哨戦になっていて、パワーアップカプセルをかき集めながら戦いに備えるという仕組みに。というか、ここで十分にパワーアップしていないと、ステージ本編の苛烈な攻撃の前になすすべもなくやられてしまうのだ。よくできてるね!
第1ステージは火山エリア。洞窟風ステージを突き進み、最後には噴火する火山が待ち構えているという趣向だ。富士御神火文黒黄羅紗陣羽織。地形に沿って進む移動砲台のウロスや自走対空砲のダッカー、機動ロボのジャンパー、機動兵器を大量に吐き出すハッチ(出す敵の種類によって名前が違うらしい)など、基本的な敵はほぼ第1ステージから登場。やるわね! 障害物の陰に隠れているような敵はほとんどでてこないので、道なりに進みながら基本テクニックを習熟していくというシューティングゲームのお手本のようなステージ。ここでレーザーワインダーをきちんと覚えておくかどうかは、今後の生存確率に大きく影響するしね! そしてステージの最後には前述したとおりの火山! 中ボス扱いのこいつが吐き出す火山弾を破壊しつつやりすごすと、いよいよボスのビッグコアが! でかいんだ、これが! ただ、遮蔽板を破壊してコアに一撃を加えるとあっけなく破壊できたりもする。まぁ、そんなもんよね。
第2ステージはストーンヘンジ。破壊不能の障害物と、その隙間を埋めるように配置されている球状の破壊オブジェクトが入り組んでいる迷路のようなステージだ。行き止まりだけはないような構造にはなっているけれども、ハマるときはハマる。というか、砲台やハッチが多すぎるしね! そしてボスのビッグコア前には時空間移動機雷ザブのラッシュステージが待ち構えている。ザブザブ出てくるからザブ説と、座布団に似てるからザブ説の2種類があるけど、まぁどっちでもいい。そして、ザブラッシュはシリーズの恒例ギミックになっていくんだけど、それはまた別のお話。
第3ステージはモアイ。浮島に多数のモアイが配置されていて、ビックバイパーの行く手をさえぎる! モアイは通常弾じゃなくてイオンリングを口から吐き出すのだけど、イオンリングはこちらの攻撃で破壊可能。ならば一瞬「かなり楽なのでは?」と思ってしまうが、そこはそれ。こちらの対処を上回る飽和攻撃をしてくるので、そう簡単にはいかないのだ。ちなみに、モアイは口の中に攻撃を加えると破壊可能。ああっ! ラパ・ヌイの守り神がっ! そして余談だけど、モアイはしばらくの間コナミのコーポレートマスコットみたいになっていろんなゲームに出るようになったり。さらには『モアイくん』なる単独タイトルも出るまでに至ったり。大出世だモアイ。
そしてモアイゾーンを超えると、ボス前ステージとしてマザー襲来ゾーンが。マザーは中心部に攻撃を叩き込めば破壊できるけど、マザーから発射されるチルド(そういえばチャイルドじゃないんだな)は破壊不能。なんてこった! というか、この頃のシューティングって普通に破壊不能オブジェクトが大量飛来するので困る。『ゼビウス』のバキュラとか、『スターフォース』のオブセス小弾とか。
第4ステージは逆火山。第1ステージを天地反転したステージで、少ない容量で最大限の視覚効果を得られるステキなギミック。構造がほぼ同じなだけに、基本的には第1ステージと変化はない……ように思えるけど、敵の攻撃が苛烈に。攻撃が激しくなってるってだけで、それはもう別物。クワバタオハラがおったらそこは大阪みたいなものです。そしてステージ終盤には、ステージ名にもなっている逆火山がっ! 第1ステージと違って道中に出現するから、うっかりしてると弾にやられちゃうのよね。そして第1ステージでは火山が噴火していた場所では、中ボスとしてアイアンメイデンが飛び回る。高速で飛び回るだけなのでなんてことはないんだけど、結構固いのでパワーアップが足りないときは撃ち負けてしまうことも。そういう意味では強いのかな?
ここから後半戦の第5ステージは、みんな大好き触手面。ふよふよと飛んでくる肉塊に生えた触手が襲い掛かるっ! ビックバイパーが美少女だったら完全にエロゲ案件です。どうもありがとうございました。触手は肉塊を破壊するか、触手を破壊して無力化するのが基本。出てくるタイミングは大体決まってるので、しっかり攻撃し続けよう。というか、ビジュアルはともかくとして、言うこと少ないのよね、このステージ。障害物はないし、前哨戦終わったら触手が出てきて、ボス前ラッシュエリアも触手だし、ボスはビッグコアだし。まぁ往々にしてこういうこと、あるよね?
第6ステージは細胞。細胞の壁を破壊しつつ先に進むという、第2ステージのリメイクのような感じ漂うエリアだ。細胞壁のなかにはハッチや敵機、そして動き回るアメーバ状の細胞がいるので、こいつらも適時破壊していかないと突然の射撃で反撃されることも。このステージはビッグコアがおらず、いきなりボスの細胞核が出現。細胞をまき散らしながら攻撃してくるのでこちらも反撃……なのだが、意外とコアまで攻撃が届かない。レーザーがないと確実に撃ち負けるステージだ。
最終ステージの第7ステージは要塞。これまたシリーズ恒例となる構成だ。各種砲台とハッチ、そして空中物の複合攻撃を、狭い通路でやり返さないといけないというラストにふさわしい強烈なステージだ。絶妙にいやらしい位置にディー01やダッカー、ハッチがあるので、レーザーワインダーを駆使して、あるいはダブルで上方向に攻撃できるようにしながら進んでいくことに。一応復活パターンもあるものの、このステージでの死は文字通りゲームオーバーを意味するので、慎重かつ積極的に攻撃していこう。というか、ここで復活パターンでリカバリーできる人は本当に凄いよ! 事実上の中ボスである電磁バリアを潜り抜け、メカ触手が守るシャッターを抜けた先に待つのは巨大脳みそ。こいつが亜時空星団バクテリアンが誇る要塞ゼロスのマザーコンピュータだ。脳みそは無敵なんだけど、6か所のコネクタを全部破壊すれば見事クリア!
クリアしたあとはささやかなエンディング、そして高次周回へ……。2周目以降は難易度が上がるだけでなく、敵を倒すと通称「撃ち返し弾」と呼ばれる攻撃が発生するので、うかつに敵を破壊できなくなるというトラップつき。そのため、ただやみくもに連射するのではなく、的確に攻撃していくことを要求される……つらい。さらには3周目や17周目、23周目などで明確に難易度が跳ね上がるとか。当然、自分はそんなところまでいけるはずもなく。撃ち返し弾がつらすぎるんだよ、このゲームはさ!
んで、全然関係ないけれども、このゲームの初期出荷版基板は磁気バブル現象を利用した「バブルソフトウェア」という特殊な記憶媒体を採用した「バブルシステム」で、当時高価だったEPROMを使わずに高容量ゲームを実現した画期的なものだった。……らしいのだが、当然のようにそんなうまいことはいかず。簡単にデータ消失が起きてしまうほど不安定なバブルシステム(「電車の床に置いたら、床下のモーターから漏れる磁気でデータが消えた」という伝説も)は、『グラディウス』がヒットするにつれてEPROM採用の基板に差し変わっていったとか。同じ現象は、やはりバブルシステムを採用した人気ゲーム『ツインビー』でも起きたとかなんとか。ただ、ヒットしなかったヤツは差し変わることもなく、ひっそりと消えていく(文字通り)ことに……。
だが、そんなバブルシステムも悪い事ばかりではない。バブルソフトウェアの特性上、暖機をしないとデータが読み込めないのだけど、その待ち時間にカウントダウン画面とともに特製のBGMを流していたのだ。これが世にいう「コナミ・モーニング・ミュージック」で、もともとは別のゲーム用に作成されていた曲だったとか。EPROM版では読み込みがすぐに終わってしまうため、この曲をじっくり聞けるのはバブルシステム版の特権だったのよね。なんだかんだでコナミを代表するゲームミュージックのひとつで、サントラだけでなくさまざまなゲームで活用されていたり。『キーボードマニア』とか『ラブプラス』とか『ときめきアイドル』とかね!
ちなみに海外版は『NEMESIS』。『グラディウス』でない理由は商標の問題だったという説がある。発売当時、『GRADIUS』の商標を持っていたのは、あのナムコだったのよね。なんでナムコがこの商標を持っていたかは謎のままなんだけど、一説には「『ドルアーガの塔』をリリースする際、将来のために神話の神様や古い武具の名称をかたっぱしから商標申請した」といわれているんだけど、詳しいことはわからない。というか、そもそもいわゆるローマの「剣」であるグラディウス(グラディウス (武器) - Wikipedia)のスペルは「gladius」……。なんでLをRに替えたつづりで登録されていたのか。すべては闇の中。この商標問題の結果、コナミは商標ゴロとも揶揄されるほど、かたっぱしから申請していくことになる……という話だけど、これも真相は不明。なんにせよ、『グラディウス』の商標は、発売前から他社に押さえられた状態だったのだ。
んで、『NEMESIS』は一挙ひとまとめで「海外版」という訳ではなく、先行でリリースされた欧州版と後発の北米版が存在。欧州版は最初からEPROMになっていて、ボス前ラッシュがゆるやかだったり、処理落ちしにくかったりと完全に日本版と同じという訳ではないというのが面白いところ(あと、オプションがマルチプルに変更されているのも)そして北米版は欧州版にミスから復活した際に、カプセルを出す敵が大量出現するという調整もなされていたりする。だからといって簡単になった訳ではなく、デフォルトの難易度自体は北米版が一番高かったりする(弾の量が2周目クラスなんだよ!)。世の中、そう上手くはいかないということか。またまた余談だけど、この『NEMESIS』という名称は、日本で発売したゲームボーイ版に流用されていたりする。んで、GB版『ネメシス』は「グラディウスのゲームボーイ版」と呼ばれたりするんだけれども、結構内容が違うので今回は割愛ということで。
と、ここまではオリジナルのアーケード版(を移植したPS4版『アーケードアーカイブス』)のお話。『ドルアーガの塔』のときと同じパターンだね! という訳で、ここまでの画像は冒頭のタイトル画面を除いて全部アケアカ版。一応、お断りとして。
そして、ここからがいよいよ本題! 前置き長いな! 長すぎるな!
大ヒットの結果、いろんな機種に移植されることになる『グラディウス』。その嚆矢となるファミコン版の発売は、1986年4月25日。『スーパーマリオブラザーズ』の爆発的大ヒットをきっかけとして社会現象(本当に世の中が『ファミコン』で染まったんですよ)になったファミコンに、次々とアーケードやパソコン(当時風にいうなら「マイコン」か?)の人気ゲームが続々とファミコンに移植された時期でもあります。同時期のソフトは『マイティボンジャック』『アトランチスの謎』『影の伝説』『ディグダグⅡ』『スパイ VS スパイ』『アーガス』『かんしゃく玉なげカン太郎の東海道五十三次』など。そうそう、あの『ドラゴンクエスト』も約1か月後に発売しています。
当時のコナミはオレンジの地色に太字のゲーム名、そして枠つきのキービジュアルというパッケージだったのだけれども、この『グラディウス』からそれをとりやめて、ソフトごとに異なるデザインを採用するように。よく、ネットの記事で「本作は黒を基調にしたパッケージ」と書かれることが多いけど、キービジュアルが宇宙空間で黒く見えるだけだからね! 実際のパッケージは銀色がメインだから! ちなみに、右上に貼ってある「オリジナルグッズが当る! スピードくじ付」のシールは、当時のコナミのファミコンソフトで行われていたキャンペーンの証。86年発売のソフトでキャンペーンを行っていたらしく、『ツインビー』や『がんばれゴエモン! からくり道中』、『キングコング2 怒りのメガトンパンチ』なんかにもシールが貼られていたりする。記憶が確かならばスロットマシーン風のスクラッチカードで、クマやスリーセブンになったら大当たり……だったはず。遠い記憶なので間違ってる可能性高いけどね!
当時はまだまだ容量が少なく、ファミコンに対する技術力もそこまでじゃなかったため、結果的に「タイニー移植」になってしまったファミコン版。オプションが2つまでになったり、青白い光跡を放つ美麗なレーザーも短いものに変化(のちのシリーズでは、このレーザーがマイナーチェンジして「ツインレーザー」という名でパワーアップバリエーションに組み込まれたりする)。
さらには第1ステージ終盤の固定砲台や第4ステージのアイアンメイデンなどがオミットされていたり、第2ステージや第3ステージの上下ループスクロールがなくなったり、第6ステージのボスにコアがなくなったりと、「完全移植」を期待していたユーザーはガッカリしたらしいけど、それでもゲーム性はそのままと、当時としてはなかなか頑張っている移植に仕上がっていたりする。
なんといっても、操作性はこのあと数多く出る移植版のなかでも上位に入り、それこそPCエンジン版がでるまでは「操作性に関しては最高」だったのよね。まぁ、比較対象が比較対象なだけに……ね。思ったとおりの動きを軽快にするファミコン版は、その後のファミコンシューティングを大きく変え、このソフトと比較されることに。
いくつかのステージに変化こそあったけれども、基本的には全7ステージを可能な限り再現した移植作。登場する敵機もできるだけ再現するという力の入れよう(ただ、ステージごとに違うハッチの形状までは再現できなかった……)。もちろん、ファミコンの性能的に限界があるんだけどね。ビッグコアの出現方法や大きさとか。
ファミコン版が伝説になったのは、当時としては良好だった移植度だけでなく、その豊富な超ウルトラ技(ファミマガ基準)も後押ししたのは間違いない。で、その豊富な禁断の秘技(ファミコン通信基準)のなかでもっとも有名なのがパワーアップコマンド、通称「コナミコマンド」だ。ポーズ中に上上下下左右左右BAというわかりやすい入力で、ミサイル、オプション2つ、バリアが装着されるという素晴らしいコマンド! ちなみに1回しか使えないけど、ステージをクリアするごとに1回ずつ増えていく。やったね! ほかにもオート連射(パワーアップゲージが「?」にしたあと、スコアの1000の位が0のときにパワーアップカプセルを獲る)とか、ボーナス10000点(パワーアップゲージが「?」にしたあと、スコアの1000の位が5のときにパワーアップカプセルを獲る)、コンティニュー(ゲームオーバーになったあと、タイトル画面に戻る前に上下BABABABAと入力)が実装。当時のゲーム雑誌の目玉として掲載されていたのだ。
ファミコン版の裏技はこれだけではない。特定地点を通過すると5000点が加算され、スコアの1000の位が偶数のときに特定地点を通過すると1UPするというフィーチャーもあったりする。あの、意味ありげに空いている山の隙間とかが、ちゃんと意味のあるものに変化したんですよ! シューティングゲームは忙しいのできちんと狙ってスコアを調整するのは難しいけれども、こういうのがあると狙いたくなるよね!
そして、ステージスキップを狙えるワープもあったり。第1~3ステージで特定の行動を達成すると、ワープゾーンに突入してステージをスキップできるのだ。条件は以下のとおりで、特に第3ステージはモアイを破壊していると自然に達成できてしまう。そのためか、ファミコン版で第4ステージをやったことないという人も多かったり。
【ワープ条件】
第1ステージ:1000の位が偶数のとき、ハッチを4つ破壊する
第2ステージ:ビッグコアのコアが青(破壊可能)になってから2秒以内に倒す
第3ステージ:モアイを10体倒す
そして、ファミコン版はエンディングにも仕掛けが隠されていたり。6周目までは表示メッセージが変わるのだけど、頭文字を全部繋げると「KONAMI」になるのだ! こういう隠しメッセージは面白いよね。ちなみに、7周目以降は6周目と同じになる。
このファミコン版、なんと任天堂VS.システム筐体用アーケードゲームとしてもリリースされていたのだ! ただし、海外専用だったため、日本ではまったく無名の存在。基本的にはファミコン版と同じだけど、アーケードゲームなのでポーズがないからコナミコマンドが使えなかったり、『がんばれゴエモン』で採用されたVRCが搭載されていたりと、微妙な差異があったり。本当に微妙だけどね。まぁそれ以外、特にいうことはないのよね、『VS.グラディウス』。幻だからといって、なんでもいい訳じゃない。
そして、ほぼファミコン版と同時期にリリースされたのがMSX版(画像はWiiUのバーチャルコンソール版)。発売は1986年7月25日なので、ファミコン版から遅れることちょうど3カ月ということになる。それまでのコナミはMSX優先でファミコンが後になるパターンが多かったけど、『グラディウス』では逆になっていたり。当時のファミコンフィーバーっぷりがこんなところにも影響がでているのか、と思いをはせてみる。
MSX版最大の特徴は、なんといってもファミコンでは再現できなかったレーザー。青白く輝くグラディウスのレーザーが再現されているんですよ! ゲーム開始前には、アーケード版のポスターイラスト(ファミコン版のパッケージにも使われているイラストですね)を再現したキャッチが入ったり。これ、横8ドットにつき2色しか使えないという制約で描かれているんですよ! 凄いね! 恐らくはMSXに「SCREEN1.5」(SCREEN2相当の画像をSCREEN1で実行する裏技)を利用しているんだろうけど(この頃からMSXに描画革命が起きて、メーカーごとの技術力の差が大きく出てくるというのは、また別のお話)。そしてビッグコアもデカい。この頃は、MSXのほうが大容量ROMを採用してたんですな。
パワーアップシステムも変更され、ミサイルとレーザーは2段階パワーアップするように。これはMSX版独自の仕様だったけれども、のちに本編にも逆輸入された要素でもあったり。でも、後継作と違ってダブルには採用されていない。ダブルこそ、この2段階パワーアップが欲しいのに!
ただ、いいことばかりではない。スムーズなスクロールはMSXの性能が邪魔をして実現できず、8ドット単位になってしまっている。そのせいか、場面によってはスクロールがカクついていると感じてしまうところもあるのだ(ただ、触手面などでは処理落ちしにくいという特徴も)。また、MSX版の代名詞であるレーザーも性能までは再現できず、押しっぱなしでは威力不足で連射が必要になってしまう。また、空中物や地上物などは、やはりMSXの性能が制限となって、ほぼ単色に。しかし、クリア後のデモはファミコン版よりも豪華なものになっているというのも忘れてはいけない。なんだかんだで、MSXの性能がいろいろと影響して、派手な部分と思った以上にショボい部分がクロスする味わい深い一本に仕上がったというのが個人的な印象。
オリジナル要素も多く、特定地点に接触すると得点稼ぎのエリアに突入できたり、逆火山面と触手面の間に新たなステージ(骨面)が挿入されていたり。さらにはキーボード入力機能を使い、コナミの女性スタッフ名を入力するとさまざまな恩恵が得られるのだ(参照サイト)。さらにはカートリッジスロットが2つある機種でプレイしているなら、1スロット目に本作、2スロット目に『ツインビー』を入れると、自機がツインビーに変化する(性能はそのまま)という裏技がっ! このフィーチャーは、のちに『パロディウス』を生み出すきっかけになるのだけど、それはまた別のお話(またか)。
もちろん、ファミコンやMSX以外にも『グラディウス』は移植されていたり。ファミコン版の次に有名なのは、やっぱりX68000版なのかな? 初期出荷分の本体付属ソフトだったX68K版は、BGM以外はわずかな差異しかないという再現性だったとか(伝聞系なのはプレイしたことないから!)。BGMはFM音源だから仕方ないんだけどね。で、X1とかPC-8801とかにも移植された本作は、1991年11月15日にひとつの革命を起こすことになる。そう、PCエンジン版の発売である。
PCエンジン版は本体リリースから4年、アーケード版から数えると6年の月日が流れているゲームだけあって、発売前はわりと「いまさら?」感が漂っていたのを覚えている。けれども、発売したあとは、当時としてはびっくりするぐらいの移植度の高さから、ファンの心をがっちりキャッチしたとかなんとか。
基本的にはアーケード完全移植ではなくアレンジ移植の本作。上下スクロールしないステージでもちょっとだけスクロールしたり、レーザー使用時にわずかな処理落ちがあったり、タイトル画面の色合いが違ったり、ミサイルの仕様がファミコン版準拠になってダブルが連射可能になったりと、細かい違いが多く存在したりする。また、第4ステージと第5ステージの間に砂漠ステージが追加されていたり、タイトル後のデモ画面にキービジュアルがCGで再現されたものが挿入されていたりという独自要素もあり。それでも、やっぱりアーケード版に近い『グラディウス』が遊べるとあって、なかなか中古市場にも出てこない人気ソフトとなったのだ。
2020年3月19日に発売された『PCエンジンミニ』収録の『グラディウス』は、起動時に特殊コマンド(セレクトボタンを押しながら起動するだけなので、特殊もクソもないが)を入力することによって、よりアーケード版に近い移植で楽しめる「near Arcade」モードになるのだっ!
ある意味、新作PCエンジンソフトの登場に界隈が盛り上がったなぁ……と。当時のどんよりとした空気が少し明るくなったような、そんな話。ゲーム本編は「near Arcade」というだけあって、BGMや色調などがアーケード版に近いものに変化した程度の変更。いや、なんだかんだでデカい変更なんだけどね。
そんな人気なPCエンジン版も、いわゆる次世代機移植によって一気に過去のものに。プレイステーションとセガサターンに移植された『グラディウス』(正確には『グラディウス デラックスパック』)は、とうとう全ファンをうならせる「完全移植」に到達したのだっ!(画像は上段がPS版、下段がSS版) しかし、実のところセガサターン版は本体仕様の問題(解像度が横256ドットではなく320ドット)から描画がオリジナル版とは異なったため、初の「家庭用への完全移植」はプレイステーション版に譲ることとなる。なんというか、こういうところがセガだよね(熱い風評被害)。ただ、プレイステーションもラインバッファ形式のスプライトを持たないから、こっちも完全移植じゃない可能性も高いんだけどね! この辺難しい! 技術面から語ってくれる人、募集! ま、今は『アーケードアーカイブス』などによってアーケード版が気軽に遊べるようになっているので、そこまで「完全移植」にこだわる必要もなくなったんだけどね。それこそ、「どこをどのようにアレンジして移植したか」も重要な要素になったかな?
んでもって、移植はゲーム機にとどまらず。なんとボードゲームにもなっていたりするんですよ、『グラディウス』ってヤツぁ。発売はバンダイ。当時の小学生を中心に人気のあったボードゲームブランド『パーティジョイ』シリーズのNo.60としてリリース。狭いボード(いわゆる「パーティジョイ規格」のボード)に、みっちりと詰め込まれた『グラディウス』の世界。なんとペーパークラフトで再現されたビッグコア戦もあって、大迫力のゲームなのだ。パワーアップシステムもきちんと再現されていて、わりとしっかり『グラディウス』してるんですよ。というか、この頃の『パーティジョイ』シリーズって、面白いゲームが多いんだよね、実際。復刻してくれんかなぁ、『パーティジョイ』。『日本全国ミケ猫トマトの配達屋さんゲーム』とか。
と、ここまで家庭用『グラディウス』を長々と語ってきた訳だけど、どうしても欠かせない1本があるわけで。はい、みなさんお気づきのとおり『グラディウス アルキメンデスversion』ですね。『アルキメンデス』は大塚食品が1985年に発売したカップかた焼きそばで、付属のあんかけをかけるだけですぐに食べられるというのを売りにした商品でした。自分は食べたことないけど、あまりおいしくない、そして高い(当時のカップ麺は定価130円ぐらいのところに200円)と、いいところがなかったらしい。んで、その販促懸賞として起用されたのが、ファミコン版『グラディウス』だ。
パワーアップカプセルが『アルキメンデス』のパッケージに差し変わったこれは、当時としてもそこそこの珍品として一部で話題になっていたのだ。当時はファミコンソフトを販促懸賞に使う例は多く、有名なのは『ヤマキのつゆ』の『影の伝説』とか、『明星チャルメラ』の『ゼルダの伝説』あたりか。しかし、そういうタイトルもラベルが違ったりするだけで大きな違いはなかったのだけど、これはゲームそのものに変更があるという珍しいパターン(ほかにはナムコの『タッグチームプロレスリング』や、バンダイの『オバケのQ太郎 ワンワンパニック』『機動戦士Zガンダム ホットスクランブル』がこのパターンに該当)。そのため、価格はうなぎのぼりのプレミア価格となり、一時期は「ファミコンで一番高いソフト」だったことも。まぁ、今はもっと高いソフト(それも普通の市販ソフト)が普通にあるんだけどね……。ああ、諸行無常。
で、ゲームの変更はパワーアップカプセル以外にも、エンディングのメッセージが『アルキメンデス』の販促に差し変わっていたりするぐらいで、あとはおおむね通常のファミコン版と同じ。まぁそんなもんよね。
上記は今回紹介したバリエーションのタイトル画面を一挙掲載したもの(ただし、タイトル画面がファミコン版と完全に同じな『アルキメンデスver』は割愛)。上段左からアーケード版、欧州版(NEMESIS)、ファミコン版、VS.システム版。下段左からMSX版、PCエンジン版、PCエンジン(near Arcade)版、PS版、SS版。どれも微妙に違うのが面白い。んで、アーケード版とVS.システム版はPS4やSwitchなどの『アーケードアーカイブス』や、同じくPS4やSwitch、XBOXの『アーケードクラシックス アニバーサリーコレクション』に収録されているし、ファミコン版は『ファミリーコンピュータ Nintendo Switch Online』でプレイできる(『ファミリーコンピュータ Nintendo Switch Online』だと、いきなり2周目とか最強状態でボス手前とか、そういう状態からプレイもできたり)。MSX版もいまだWiiU『バーチャルコンソール』で配信中。PCエンジン版(と「near Arcade」)は『PCエンジンミニ』に収録されているし、PS版は『ゲームアーカイブス』で配信されている。名作だけあって、昔のゲームにしてはオリジナル版も移植版も意外と遊びやすい環境がそろっているのだ。気軽に遊べない移植版は、過去本体を用意しないといけないSS版と、Win以前の家庭用パーソナルコンピュータ版(X68Kは「パーソナルワークステーション」だという指摘は無視)各種ぐらいなんじゃないかな? それ相応の腕前が要求されるけど、なんだかんだで面白いゲームなので、機会があれば触れてみるのもいいんじゃないかな? かな?
と、なんだかんだで家庭用に移植された『グラディウス』をおさらいすることになってしまった今回。そのせいか、いつもの3倍ぐらいのテキスト量になってしまいましたとさ! つらいね! この分量を数回に分けて、こまめに更新しないと。次は久方ぶりの任天堂タイトルか、35周年を迎えるフェイバリットタイトルなアレあたりを紹介したいところ。紹介していないメーカーのタイトルでもいいんだけどね!