ゲームで適当に遊ぶ

ファミコン中心に、いろいろなゲームを遊んだ感想とか適当に

奴が赤房の下で投げを打つ

 なるべく間を開けない! それを心掛け、紹介候補から選んだのはこの1本。コンシューマゲーム機では本作が初といわれるジャンル! のちの同系統作品にも大きな影響を与えた、ファミコンキッズたちにも人気が高かったこのタイトル!

つっぱり大相撲

 発売は1987年9月18日で、発売元はテクモで、同社のファミコンソフト第6弾。同時期発売のソフトはスペランカーⅡ 勇者への挑戦』『バイオ戦士DAN インクリーザーとの闘い』『沙羅曼蛇』『快傑ヤンチャ丸』など。ディスクシステムではふぁみこんむかし話 新・鬼ヶ島がリリース。世間ではファミコン以外にも、ビックリマンチョコのおまけである『天使VS悪魔シール』や、SDガンダムの塩ビ人形『元祖スーパーディフォルメ  ガンダムワールド』(ガン消し)が男児ホビーとして大人気、そしてのちに大ブームを巻き起こす『レーサーミニ四駆』の人気が高まってきた頃でもありまする。

 

 んで、本作は当時どころか現代でも割と珍しい相撲を題材にしているゲームで、一説には家庭用ゲーム機初の大相撲ゲームといわれている。当時は昭和末期の大横綱千代の富士の全盛期で、十両から驚異的なスピードで昇進を果たした新人類横綱双羽黒(ソフト発売直前の場所で昇進)、次期横綱を狙う大関北勝海大乃国(両者とも、のちに横綱へと昇進)、これぞ相撲取りといった風貌で老若男女から人気だった大関朝潮、圧倒的なパワーと体格で日本人力士を次々となぎ倒すハワイからの黒船・小錦、二枚目で女性人気が高く『キャプテン翼』のキャラ名の由来にもなった南海の黒豹若島津、その若島津と並ぶ女性人気を誇る甘いマスクながら頭抜けた腕力で北海の白熊と称された北天佑逆鉾寺尾の井筒兄弟(本来は三兄弟だけど、長兄の鶴嶺山は早く引退してしまったので)、10年目でついに覚醒した霧島、豪快な塩撒きで人気を博した水戸泉など、スタイルの違う実力力士が多く番付に名を連ねていた時代で、相撲は意外と子供人気もあったのです。決してネタや話題性だけで出た訳ではなく、ちゃんと人気の裏付けがあったんですよ。ちなみに、のちに千代の富士と寺尾は、その名を冠した相撲ゲームがファミコンでリリースされるのだけど、それはまた別のお話。

 

 

 詳しい操作方法は説明書に任せるとして。説明書が公式にアップロードされてるソフトはラクでいいね! 十字ボタンとAボタン、Bボタンの組み合わせで多数の技を使い分け、相手の体力を削ってこちらの体力ゲージが光った瞬間に技をかけて勝負を決める本作のスタイルは、最初期の相撲ゲームながら完成形といっても過言ではなく、のちに出る相撲ゲームもこのシステムを踏襲しているものが多かったり(もちろん、まったく違う操作体系を打ち出したものもあるけれど)。プレイには一切関係ないけど、仕切前の力士の振る舞いが数パターンあるのが個人的にお気に入り。塩を撒いたり、四股を踏んだり、仕切前にポーズをかけると呼出が土俵を掃き清めたり、行事(テクモのマスコット!)が軍配を返したり。こういう細かい作り込みっていいよね。ちなみに、勝ったあとの記者? 親方?コメントのパターンは意外と少ない。なんでだろう?

 

 

 決まり手も意外と豊富で、仕掛けた技やタイミング、土俵での位置、相手との距離などで変化し、実に多彩な勝負結果が生まれるのも本作の魅力のひとつ。同じように投げを仕掛けたはずなのに、天高く投げ飛ばす上手投げになったり、その場に叩きつける下手投げになったり、あるいは土俵を転がすすくい投げになったりと、結果が変わるのが面白い(恐らく、仕掛けたタイミングなどで変化していると思われる)。ちなみに、勝ったとき、画面右中央ぐらいで何かを動かしているキャラクターは、恐らくアルゴスの戦士 はちゃめちゃ大進撃』の主人公・ライガーと愛用武器のディスカーマ―だ。

 

 

 特殊な入力によって発生する技(決まり手)もあり、相手の廻しを取るもろだし(本来は決まり手ではなく、不浄負け」という反則負け)、相手の背後に回ってバックドロップをかけるすうぷれっくす、土俵際での一発逆転となるぶれえんばすたあダッシュして相手を押しつぶすあびせたおしがあり、これを狙うのも取り組みの楽しみだったりする(特にもろだし)。このうち、あびせたおしは上手投げによって投げ飛ばされたときの一発逆転の決まり手としても発生する。勝負は最後まで何が起きるかわからない。特殊技で逆転勝利を収めると、最高に気持ちがいいのだ!

 

 

 1人用は説明書で“相撲人生出世モード"と名付けられている、横綱を目指すキャンペーンモードだ。まずは四股名をつけて、前頭十三枚目からゲームスタート四股名は力士らしく漢字を使えるのだけど、56文字しかないのが残念。それでも、それっぽい四股名をつけられるので、親方になった気分で自分の分身を名付けよう。

 

 

 15日間の本場所を戦い抜き、条件を満たす(基本的に勝ち越し)と昇進するという仕組み。そして、横綱になってから2場所連続で優勝するとエンディング……というのがゲームの流れ。大相撲ゲームだけあって、ゲームを進めても対戦できる力士に大きな変化はない。もちろん、勝ち続けると上位陣との対戦が組まれ、負けると上位力士とは戦えない。この辺、本物の大相撲と一緒だ。

 

 

 一定数の勝利を積み重ねると、レベルであるうでっぷしが上昇し、上位力士にもパワー負けしなくなっていく。どこから勝っても同じ1勝なので、いかに自分より下の番付との取り組みで負けないか……も重要。ここも本物の大相撲と同じ。ちなみに、取り組みと取り組みの間にセレクトボタンを押すと、現在の番付と通算勝利数、優勝回数、腕っぷし、そしてパスワードのりきしのこころえが表示される。これを入力すれば、この状態でプレイを再開できるのだ。中断できるってのはうれしいね!

 

 

 番付に名を連ねる力士は、五九六山関ノ山八九三海日満児などの語呂合わせの珍名力士が勢ぞろい。もちろん、百代富士千代の富士)、大腹黒双羽黒)、小目錦小錦)、黒東海北勝海)、天竜北天佑)、満潮朝潮)などの、実在力士の変名力士も存在。これらの変名力士は番付上位に名を連ねているため、本当に強い。横綱に互角以上の戦いをできるようになるまで、何度も戦い続ける必要がある。変名力士以外では、四十方八九三海手雲山あたりが大きな壁として立ちはだかってくる。このあたりの力士に軽く勝てるようになれば、さらなる上の番付が狙えるだろう。ちなみに、メーカーの名前を冠する手雲山は小結ながら大関クラスの強敵という力士(詳しいことはわからないが、隠しパラメータの粘りが最強らしい)。大関に昇進しても苦戦することもあるので、日々の精進が必要となってくるのだ。

 

 

 先ほど述べたとおり、横綱に昇進して2回優勝するとエンディング。優勝時には、表彰状授与と賜杯が行われるのは現実と同じ。表彰状を授与している人は、今はなきパンナム航空の元・極東広報支配人のデビッド・ジョーンズ(当時は退職していて外部顧問という立場)がモデル。独特の言い回しで優勝力士を表彰する姿は、40代以上には懐かしい光景だろう。そして2回優勝したときには、エンディングとして優勝パレードが執り行われる。観客のなかにサッカーボールを持った少年がいるけれども、これはまごうことなきキャプテン翼』の大空翼。このソフトが発売した翌年、テクモから発売されることになる世界的人気マンガの主人公が隠れているのだ(話によると『キャプテン翼』は『つっぱり大相撲』より前から開発されていたらしい)。『アルゴスの戦士』のライガーといい、こういうお遊びって何かいいよね。

 

 

 そして、本作には対戦プレイも搭載されていたりします。六三四の剣 ただいま修行中』と並んで黎明期の対戦格闘ゲームとして名を残している……のかな? 1人用のイメージが強いせいか、『六三四の剣』ほど対戦格闘ゲームのイメージはないんだけど。

 それはさておき。ゲームとしては4つの部屋から1つを選び、5対5の勝ち抜き戦を行うというもの。勝った力士は引き続き出場するため、体力は前の取り組みを引き継いでいる。なので、いかにして体力を温存しながら勝つかが重要になるのだ。そして、先に相手の部屋の力士を全滅させたほうが勝ちとなる。わかりやすいね! 横綱がいる部屋が強いけど、そういうところは下位力士が弱いというバランスとり。上位力士と当たった場合は、次に戦う力士のためにいかに体力を削っていくか……が重要となる。テクニックだけでなく、出場順の駆け引きも対戦の魅力かもしれない。

 

 

 続編も3本リリースされ、Switch『ファミリーコンピュータ Nintendo Switch Onlineでもプレイできる本作。確かに単純ではあるものの、それだけ直感的にプレイできるということでもある。技術的介入の余地も大きいしね。近年は相撲ゲーム出ていない気がするので、この辺で新作を出してくれないかなぁ……と思うことしきり。

 

 そういう訳で、今回はここでおしまい! 次回は相撲つながりで何か……かな? 別のゲームになる可能性も高いけどね!