前回は選定の段階から難儀していたものの、今回はさくっと紹介ソフトが決定! そういう訳で第16回はこのタイトル!
クレジットには記載されていないけれども、発売はキャラクターソフト。発売当時に存在したサンリオの子会社で、サンリオキャラクターを使ったゲームを何本も発売していたところですな。発売は1992年3月27日。ファミコン末期に出たタイトルだけあって、もとになったキャラクターの知名度に比べてゲーム自体の知名度は低かったり。
「風船につかまってどこかに行ってしまったクマのティッピーを助け出すため、自分たちも風船につかまって冒険にでるキティとミミィ」というストーリーの、横スクロールアクションゲーム。風船を使って浮かんでいるため独特の浮遊感があり、また右から左にスクロールするというゲームのスタンダードから少しずれたシステムを採用しているのが最大の特徴だったりします……。
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⊂(#・д・) バルーントリップじゃねーか!!
/ ノ∪
し―-J |l| |
人ペシッ!!
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そう、ゲーム内容は『バルーンファイト』のGAME Cこと「バルーントリップ」なのです! とはいえ、『ハローキティワールド』は「バルーントリップ」のパクリゲーではなく、ちょっとだけ複雑な経緯があって誕生したゲームだったりします。
まず、開発会社の株式会社マリオは、任天堂と電通の共同出資によって設立された会社なんですよ、これが。つまり、このソフトは虎の皮をかぶった狐ならぬ「キティの皮をかぶったマリオ(タヌキ)」なんですよ!
そして、ソフトの内容自体も決して任天堂、ひいては『バルーンファイト』抜きでは生まれなかった代物なのです! まず、このソフトは海外では『Balloon Kid』というタイトルのゲームボーイ専用ソフトとして90年に北米地域でリリース(91年に欧州地域でもリリース)されたものなんですわ。もちろん発売元は任天堂。んで、日本でも『バルーンキッズ』もしくは『フワフワランド』というタイトルで発売する予定だったものの、なぜか発売中止に。そして、紆余曲折の末にキャラクターソフトから『ハローキティワールド』として発売することになった……と。ま、お蔵入りになってしまった原作ソフト『Balloon Kid』も、結局ニンテンドウパワーGB用ソフト『バルーンファイトGB』として2000年に発売されるんだけどね。
そういう訳で、ゲームの基本ルールは『バルーンファイト』の「バルーントリップ」に準拠。つまり、左右ボタンで移動して、Aボタンで羽ばたき。でも『バルーンファイト』のようにBボタン押しっぱなしで連続羽ばたきはできなくなっている。その代わり、Bボタンを押すと風船を手放すのだ! 凄いぞ! 『バルーンファイト』では命と同義だった風船を手放すのにはちゃんと意味があり、このギミックを利用しての攻略も多数存在するのだ。風船を手放している間は、Aボタンでジャンプできる。つまり、普通のジャンプアクションゲームに。あと、一度失った風船は、下ボタンを連打すると復活するので、浮かびたいときも安心。ただ、しっかりした足場がないと風船は膨らませられないので注意したいところ。全然関係ないけど、タイトル画面でしばらく待つと操作説明デモがスタート。キティがちょこまかと動いてかわいいのよ、これが。
バルーントリップをベースにしているだけあって、右から左に強制スクロールしているステージを左へ左へと進んでいくことに。道中を妨害する鳥などの敵は触れても風船が割れるだけだけど、海に落ちたり風船がないときに地面のトゲに触れたりするとミスに。ただし、火など「触れると明らかにあぶない」ものに触れると一発ミスになることも。この辺、シビアなのかゆるゆるなのか、微妙にわからない。
あと、ステージ中にたくさん風船が置いてあるのも、バルーントリップからの引き継ぎ要素。たくさん取れば、それだけ高得点が狙えるのだ。そして連続で10個以上とると風船がダブルになり、得点がアップ! この辺もバルーントリップの引き継ぎだね。
Pマークアイテムを取ると無敵になって、スクロール速度もアップ! 敵を蹴散らしながら一気に進めるようになるけれども、ボーナスアイテムの風船は取り逃しやすくなってしまう。どっちを優先するか難しいところ。大体の場合、クリアしやすくなる無敵アイテムを取ったほうが有利になるのは間違いないんだけどね。
1UPする方法も豊富。得点でのエクステンドのほかにも、ステージ内に配置されているハートアイテムを取得すると残機が増えるようになっているのがうれしい限り。さらに、各ステージにボーナスエリアが1~2つぐらいあり、そこですべての風船を獲得するとハートが出現するという仕組み。というか、本当に残機がぽこじゃが増えていくので、多少死んでもゲームオーバーにはなりにくいのがうれしい。アクションが上手なプレイヤーならば、クリアするまでに残機が20機ぐらいになってるんじゃないかな? ただ、佃煮にできるほど残機は増えるけど、コンティニューは基本できなかったり(スコアで可能になる)。この辺は不親切な気がする。コンティニューは自由にやらせて!
ステージは数字表記ではなく、チューリップや雪だるまなどで表記。2ステージごとにボスが待ち構えていて、倒さないと先へと進めないのだ。倒す方法はひとつ、風船のない状態で踏むだけ! 簡単だ! 真上まで飛んでからBボタンで風船を離して落下するのが、たぶん一番手軽な攻略方法。踏んだときの反動で、自分が手放した風船を再キャッチできることもあるので、安全な攻略方法でもある。踏んだあとは素早く離脱して、風船を膨らませよう。腕に自信があるなら、そのまま踏みに行ってもいいけどね。ちなみに、ステージは全部で8ステージ。つまり、4体目のボスを倒すとクリアになる。クリアしたあとは、クマのティッピーを救出してエンディングへと突入するのだ。
これは余談だけど、キティちゃんは左耳に赤いリボンをつけているというのが重要な設定になっていたり(妹のミミィは右耳に黄色いリボン)。そのため、ゲーム中のキティは進行方向に関わらず、必ず左耳にリボンをつけているように描かれているのだ! これ、地味にすごいんだよね。だって、反転キャラで誤魔化してないんだから。ちなみに、ミミィは2P用キャラクターとして登場し、2Pプレイ選択時は交互プレイになる。
紆余曲折の末、キャラクターを差し替えて発売にこぎつけたというタイトルで、歴史に埋もれてしまった感が漂う一本。女児向けキャラクターものということで、ゲームファンからも軽く見られがちというのも影響しているかもしれない。しかし、完成度自体は折り紙つきで、難易度も簡単すぎない絶妙なバランスに仕上がっている。というか、序盤はともかくとして、中盤以降はメインターゲットと思われる女児にクリアできるのか? という難易度になり、初見殺しも多く発生する。もちろん、初見殺しといっても理不尽な内容ではなく、少し考えれば解法を思いつくレベルなので問題ないといえば問題ないかもしれないけど……ね。
それでも、1周クリアでのプレイ時間も長すぎず、ハイスコア狙いプレイも楽しかったり。ファミコン現役時代は知らなかったけれども、近年プレイして良さを知った一本だったりします。いや、本当に面白いんですよ、これ。
キャラクター権利関係から移植は難しいと思うけれども、ベースになった『Balloon Kid』の日本版である『バルーンファイトGB』は3DSのバーチャルコンソールで配信されていたりする。画面解像度の違いからか移動範囲に差があるけれども、『ハローキティワールド』の雰囲気自体はつかめると。
そういう訳で第16回もここまで! 「16」ということで、16に関わるゲームの紹介にしようかと思ってた(意外と多い「16」関連ゲーム)んだけど、結果的に全然違うゲームの紹介になってしまったり。次回は「バルーンファイト系を紹介したら、このゲームを紹介しないわけにはいかない」と強く思う、あのタイトル! わかるよね?
次回「なんでどうしてこういう設定に……」を見るベス!