ゲームで適当に遊ぶ

ファミコン中心に、いろいろなゲームを遊んだ感想とか適当に

30年早かった!? ようやくわかる味わい深さ

 せめて6月中に4回は更新したい! ということで、急遽紹介するタイトルを決定いたしました。子供の頃、友達の家で遊ばせてもらって、友達も自分もまったく先に進めず「なんだこりゃ?」となった思い出のタイトル!

ダウ・ボーイ

f:id:ri-syu:20200625060026j:plain

  オリジナルは8ビットコンピュータ・コモドール64用のゲームソフトで、1984年発売。日本ではケムココトブキシステム)が移植を担当し、発売日は1985年12月11日。同時期にはスペランカー『1942』超時空要塞マクロス、『オバケのQ太郎 ワンワンパニック』などがリリースされていますな。いわゆる「ポストスーマリ」時代のクリスマスシーズンを彩った1本となります。

 

 ちなみに、タイトルになっている「ダウ・ボーイ(doughboy)」は第一次世界大戦ぐらいまでの米兵のことで、なんでも米墨戦争に従軍していた兵士は砂塵で顔が真っ白になることが多く、それが焼かれる前のパン生地(dough)にそっくりだったからそう呼ばれるようになったとかなんとか。日本版のパッケージは第二次世界大戦の歩兵っぽい感じに描かれているけど、コモドール64版は第一次世界大戦の歩兵っぽい格好をしているとか。さらに余談だけど、現代のアメリカで「doughboy」といった場合、通常はピルズベリー社のイメージキャラクター「ポッピン・フレッシュ」のことを指すらしい。こちらは、文字通り「パン生地」の擬人化キャラクターだ。

 

閑話休題

 

 敵に捕らわれた友軍を救出するため、単身敵地へとパラシュート降下したダウ・ボーイ。武器や弾薬を回収して敵地深く侵入し、捕虜収容所から友軍を救い出す……というのがゲームのストーリーであり、目的となっている。

 マシンガンで攻撃できるのだが、イマイチ命中させにくい。しかも先に進むと、何をしていいのかわからず、地形にもひっかかりやすい。川に落ちると一発で死ぬし、敵はわらわら湧いてくるステージとまったく出てこないステージなど差が激しい。また、各種武器の使用方法がシステム上とても暴発しやすい……など、操作性にも難があった。そのため、当時の小学生の間では「クソゲー」(ちょうどこのゲームが発売した頃、この言葉が生まれたので厳密には使ってないんだけど)として名高いタイトルだった。 

 wikiによればファミリーコンピュータMagazine』のゲーム通信簿では、ファミコンROMカセット部門の最低点を記録したとか。本当にそのぐらい「出来が悪い」「面白くない」というのは直撃世代の共通認識となっていて、しかもスペランカートランスフォーマー コンボイの謎『星をみる人』のようなネタになる要素も皆無。そのため、ファミコンクソゲー談義になってもなかなか名前が挙がらず、挙がったときにも「あー、あったね。クソだったね」と、ゲーム内容にも特に触れられず、別のソフトの話題に移ってしまう……そんなアスファルトで干からびたミミズのようなタイトルだったのだ。直撃世代である自分も当然のように「クソゲー」認識をしており、今回の記事を書くまでずっとそう思っていた。

 

だがしかし!

 

だがしかし、だ!

 

 発売から約35年経って、説明書や先人たちの攻略方法をよく読んでからプレイしてみたら、これがなかなか悪くない。いや、むしろ「面白いのでは?」と思えてきたのだ。いや、誇張抜きで。当時は「歩兵が自機のよくあるアクションゲーム」だと思っていたのだが、実のところ「さまざまなアイテムを使って血路を切り開く特殊工作兵のアクションゲーム」で、戦闘要素はオマケといっても過言ではなかったのだ! 使い方がよくわからず自爆しがちなアイテムも、使い方さえわかれば頼もしい相棒となった。説明書を読んでもよくわからなかったけど、先達たちのプレイリポートのおかげで『ダウ・ボーイ』の面白さが理解できたよ! なにごとも先達はあらまほしきことなり。

 

 

で、ゲームの話に

 

 

f:id:ri-syu:20200625230634j:plain
f:id:ri-syu:20200625230637j:plain
f:id:ri-syu:20200625230738j:plain
f:id:ri-syu:20200625230741j:plain

 自機であるダウ・ボーイは8方向にマシンガンを発射可能。近接戦はナイフで敵をグサリ! とやるため、敵歩兵に触れても大丈夫だ。この手のゲームでボタン操作なしで敵を倒せるというのはとても珍しい。逆説的に「このゲームは、敵を倒すことが目的ではないんだよ」と語っているのかもしれない。

 

 

f:id:ri-syu:20200625231412j:plain
f:id:ri-syu:20200625231414j:plain
f:id:ri-syu:20200625231419j:plain

 特殊武器は4種類(正確には5種類)。まずはTNT。Aボタンを押しっぱなしにして「ピ!」と音がしたら、Aボタンを押しっぱなしにして移動するとダウ・ボーイの移動したルートに導火線が引かれる。そしてAボタンを離すと点火して爆発する。この爆発は強力で、敵兵や戦車だけでなく塀や鉄条網、見張り台などゲーム中に存在するほぼすべてのものを破壊できる。ただし、爆発に巻き込まれると死亡してしまう。ちなみに導火線(ゲーム中表記ではヒューズ)も特殊武器扱いで消耗品。そのため、無駄づかいすると必要なときに導火線が引けない……なんてことも。

 

 

f:id:ri-syu:20200625232016j:plain
f:id:ri-syu:20200625232019j:plain
f:id:ri-syu:20200625232023j:plain

 地雷。触れると爆発する。これもAボタンを押しっぱなしにして、「ピ!」と音がしたらその場でAボタンを離すと設置。TNTと威力は同じなのだが、誰かに踏んでもらわないと発動しない(自分で踏んでも発動する)。なので、事実上対戦車兵器となっているのだ。使い道はほとんどない悲しい兵器。なお、設置するときに少しでも動いてしまうとTNTになってしまい、爆発に巻き込まれてしまう。しかもAボタンはマシンガンの発射と共通になっているため「マシンガンを撃とうとしてTNTを使ってしまって自爆」とか「地雷を置こうとしたらマシンガンを撃ってしまう」などの事故が起きがち。この辺の操作性がクソゲーと呼ばれる原因のひとつなのはいうまでもない。慣れればTNTや地雷、マシンガンの使い分けも簡単にできるようになるんだけどね。

 

 

f:id:ri-syu:20200625232449j:plain
f:id:ri-syu:20200625232446j:plain
f:id:ri-syu:20200625232452j:plain

 クリッパー。いわゆる金切りバサミで、鉄条網を切って進路を切り開ける。鉄条網に隣接して方向ボタンを押しながらBボタンを2回以上押すという特殊な操作。この「Bボタンを2回以上押す」は連射してはいけない……というのがミソで、どういうタイミングで押せばいいのか、これだけはよくわからない。2回押すのは「1カ所切っただけでは鉄条網を撤去できない」からだと気がついた。やけに細かいな! ちなみに鉄条網はTNTでも破壊したほうが手早かったりするので、回収しなくてもなんとかなったり。

 

 

f:id:ri-syu:20200625233254j:plain
f:id:ri-syu:20200625233256j:plain
f:id:ri-syu:20200625233259j:plain

 ハシゴ。壁をよじ登れる。壁に隣接してBボタンを押すとハシゴをかけ、またBボタンを押すと回収できる。ハシゴは数が少ないので、回収しないと手づまりになるのだ。そして、ハシゴはかけたときにBボタン押しっぱなしにしていると即座に回収してしまうという……。ここでも操作性が邪魔をする! これの解決方法はない。困った。

 

 

f:id:ri-syu:20200626000148j:plain
f:id:ri-syu:20200626000152j:plain
f:id:ri-syu:20200626000156j:plain

 1面。サブタイトルは「武器を回収せよ!」。説明書にそう書いてあるから仕方がない。んで、サブタイトルにあるように、特殊武器は1面で回収しないと使えないのだ。設定上「パラシュート降下したときに散らばった」んだから仕方ないね。まるでノルマンディー上陸作戦におけるペガサス橋の戦いみたいだよね! そう、現実でも「兵士と武器がバラバラの地点に降下してしまう」というのはよくあることなのだ。

 自機は塹壕からスタートし、散らばったアイテムを回収しつつ画面右を目指して進軍するのだ。ぶっちゃけ地雷とクリッパーは拾わなくてもなんとかなるけど、TNT、ヒューズ、ハシゴの3つは持っていないと「詰み」になる場面がでてくる。残らず回収するのだ。右端に落ちているカギを拾ってからさらに右に進むと1面クリア。敵がわらわら湧いてくるため、5面を除くとたぶん一番死にやすいステージだ。

 

 

f:id:ri-syu:20200626000353j:plain
f:id:ri-syu:20200626000357j:plain
f:id:ri-syu:20200626000403j:plain

 2面。「川を渡れ!」。戦場における渡河は重要かつ頭を悩ませるポイント。ここでは、点在する灯台や上がっている跳ね橋をTNTで爆破して渡河できるようにするのだ。ちなみにダウ・ボーイはカナヅチで、川(水色の部分)に落ちるとおぼれて死ぬ。川にはときおり戦闘艦が横切り砲撃してくるが、灯台や木は貫通しないため退避はしやすい。また、砲撃タイミングも一定なので、そこさえやりすごせば安全なのだ。ここもカギを拾ってから右端に進むとクリアになる。ちなみに、2面のBGMはアメリカ民謡「ジョニーが凱旋するとき」のアレンジになっていたり。

 

 

f:id:ri-syu:20200626002356j:plain
f:id:ri-syu:20200626002407j:plain
f:id:ri-syu:20200626002412j:plain

 3面。「補給基地を大破せよ!」。潜入任務のついでに、兵士ひとりでやるもんじゃないだろ……。と思いつつ、先に進む。スタート地点すぐにあるのが鉄条網。使い方がわかりにくいクリッパーで切り開いて道を作り、点在するドラム缶をTNTで爆破してカギを探し出すのだ。なんでカギがドラム缶に隠されているのかは知らない(説明書には「ドラム缶の下にカギがある」とあるけど……)。そして、このステージには戦車が登場する。もちろん、戦車には豆鉄砲マシンガンは効かない。TNTか地雷で粉砕するのだ。戦車は移動ルートが決まっているので、あらかじめ地雷を仕掛けておくと簡単に倒せる。というか、地雷の使い道は、ほぼ「戦車の破壊」だったりする。

 

 

f:id:ri-syu:20200626003158j:plain
f:id:ri-syu:20200626003203j:plain
f:id:ri-syu:20200626003208j:plain

 4面。「壁を乗り越えろ!」。戦場といえば壁。古くは万里の長城、近年では『風雲! たけし城でも最初の難関としてそびえる、基本的かつ効果的な防御施設だ。この壁は数少ないTNTで破壊できない物体で、ハシゴを使って乗り越えないといけない。つまり、1面でハシゴを入手していない場合、このステージで詰みとなる。つらい。ハシゴは使ったあと回収しないと、やはり同じように行き詰ってしまう。移動したら回収を繰り返して先へと急ごう。このステージでも戦車がでてくるが、ゴール手前なので倒そうとせずに無視して進んだほうが得策。なお、白い壁にはハシゴがかけられない。ハシゴが赤いのは、そういう意味でもあったんだね!

 

 

f:id:ri-syu:20200626011435j:plain
f:id:ri-syu:20200626011440j:plain
f:id:ri-syu:20200626011445j:plain

 5面。「捕虜を救出せよ!」。なんとステージ全体がほぼ真っ暗。潜入作戦は夜を待ってから……がセオリーとはいえ、やりすぎである。スタート地点すぐには鉄条網、そして鉄条網を乗り越えると地雷原。最後の最後に殺す気マンマンで迫ってくるステージ構成。ひどい。ダウ・ボーイの周囲だけはわずかに見えるので、それを手掛かりに進むのだけど、TNTや地雷が爆発した瞬間だけ画面全体が明るくなるのだ。そのため、地雷を踏んで画面構成を記憶、それをもとに進んで……と、兵士の命をなんだと思っているんだという感じで少しずつ血路を切り開くことに。このステージが最終面なので、それこそ手持ちのTNTも照明弾替わりに使うことになったり。ただ、カギの発見や捕虜の救出にTNTは必須なので、無駄づかいしすぎると詰みになってしまう。

 

 

f:id:ri-syu:20200626011624j:plain
f:id:ri-syu:20200626011628j:plain

 カギを取って門を開け、捕虜収容所を爆破して友軍を救出。そして友軍を5面のスタート地点まで連れ帰れば、晴れてクリアとなる。クリア画面ではアメリカ国歌が流れるので、やっぱりこれは米兵が主人公なんだろうなぁ。そして2周目が始まる……という寸法だ。2周目からは敵兵が多く出るようになり、敵兵がいなかった2面などでも登場するように。でも、やること自体はまったく変わらない。ループゲーの宿命だね!

 

 

 先に書いたとおり、当初はクソゲーだよクソゲー!」というノリで紹介しようと思ってたんだよね。なんだけど、先達による「ダウ・ボーイの仕組み」の解説を踏まえてプレイしたところ「あれ? このゲームって実は面白いんじゃね?」となり、完全に『ダウ・ボーイ』を見る目が変わってしまった。確かに爽快感は薄く、普通のアクションゲームのつもりでプレイすると「なんだこれ!」になると思う。だけど、実は特殊工作兵による潜入任務ゲームだとわかると、実に味わい深い、プレイし甲斐のあるゲームだということが理解できた。ただ、ゲームシステムをきっちり解説を受けてからプレイしていたとしても、30年前ではこのゲームの面白さは理解できなかったのも間違いない。それこそ、この30年間にリリースされたさまざまな「風変わりなアクションゲーム」のおかげで、このゲームの面白さに気づけた……というのはある。おそらくだけど、こういうゲームは山のようにあるんだろうなぁ。今後もオールドゲーム紹介を通じて「子供の頃には気づけなかった面白さ」を発見していきたいところ。

 

 

 そんなこんなで今回も終了! 次は「たぶんナムコットコレクションには移植されないナムコットタイトル」で行こうかな? と。もうバレバレですな。でも、予定は未定。決定にあらず。実際、なんにしようかなぁ……。