ゲームで適当に遊ぶ

ファミコン中心に、いろいろなゲームを遊んだ感想とか適当に

まず、どうしてその組み合わせなんだ

 前々回、前回と「操作感覚が独特の、風船を使ったアクションゲーム」を紹介したのだけど、これらのゲームの御先祖様……というか、ほぼ直接的な元ネタとなるゲームがある訳でして……。ということで、今回紹介するタイトルはみんなわかるよね? 第17回はこれ!

ジャウスト

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  コピーライトには「1983 ATARI」とあるけれども、実際は1982年にアメリカのウィリアムズ・エレクトロニクス社が発売したアーケードゲームで、アタリはライセンス契約でATARI 2600をはじめとしたコンシューマー版を販売しただけ。

 日本ではどちらかといえばマイナーな部類に入るけれども、当時のアメリカでは大ヒットし、日本でも数多くのプレイヤーを魅了した名作だったりします。その『ジャウスト』に魅せられたプレイヤーのひとりが、あの岩田聡。もともと『バルーンファイト』は『ジャウスト』のファミコン版として制作されていて実際に完成していたものの、商売敵ともいえるアタリとの契約で揉めに揉めてお蔵入りになったとか。その結果、『バルーンファイト』が誕生して世に出ることになったのだから面白い(その過程で『バルーンファイト』はSRD社主導でアーケード版がオリジナルとして出るという経緯も)。

 

 で、最終的に契約がまとまった(おそらく、1984年にアタリがアーケードゲーム中心の当たりゲームスとコンシューマー中心のアタリコープに分裂したのが影響していると思われる)のでファミコンで発売されることに。しかし、発売はHAL研究所からとなり、任天堂のニの字はどこにもでてこなくなっていた。が、タイトル画面にHAL研究所の名前もでてこない。さらに、前述のようにウィリアムズ・エレクトロニクスの名称もない。そういう意味で、「本当の権利者はどこにいるんだ?」状態の宙ぶらりんゲームだったりする(タイトル画面の「1983 ATARI」はATARI 2600版の発売年)。

 

 ちなみに、『バルーンファイト』以外にも当時のゲーム開発者に多大な影響を与え、さまざまなコピー製品やアレンジ製品、それからエッセンスを抽出してオリジナルゲームが作成されたり。そのなかでも有名なのは、かの『マリオブラザーズ』。そして、『ドンキーコング64』に隠しゲームとして収録されている『Jetpac』だ。

 

 

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 ゲームとしては1画面固定式のアクションゲームで、プレイヤーは空飛ぶダチョウに乗った槍を持つ騎士。左右ボタンで移動、Aボタンで羽ばたきをして高度を調整……と、まさに『バルーンファイト』と同じ仕様。というか、『バルーンファイト』が、そのまま『ジャウスト』の操作を流用してるんだけどね!

 

 敵はノスリに乗った騎士で、これを全滅させるのがWave(1ステージをこのゲームでは「Wave」と呼ぶ。第○波攻撃……ってことだね)の目的となる。同じ高度でぶつかるとはじかれるけれども、少しでもノスリ騎士より高い位置にいると撃破できる(もちろん、ノスリ騎士のほうが位置が高いと撃破される)。

 

 撃破したノスリ騎士はタマゴになってフィールドに転がり、しばらくすると孵化して復活する。復活後、どこかからノスリが飛んできて大空に舞い戻るので、それまでに触って倒す必要がある。ところで、鳥はどこかから飛んできて、騎士がタマゴから孵るってのが凄いよね。どこをどうしたらそういう発想に至るのか……。なお、復活したノスリ騎士はパワーアップしていて羽ばたきなどの速度がアップしている。何段階にもパワーアップするので、確実な撃破が重要になってくる。

 

 

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 Waveは5セット1ループ。1Waveごとに空中に浮いている足場が狭くなっていき、5WaveごとにボーナスステージともいえるEGGS Waveがはさまる。EGGS Waveは孵化するまでにタマゴをすべて破壊すればそれだけでクリアできるけど、復活させてしまうと強力ノスリ騎士になるので大変。順番を考えながら、正確に撃破していくといい。

 

 

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 同じ高度に居続けると翼竜が飛んできてプレイヤーを殺しに来たり、一番下の段の左右にある溶岩からは無敵の溶岩トロルが出現して通りがかるキャラクターを敵味方関係なく捕まえて溶岩にひきずりこもうとする。この辺は永久パターン防止キャラなんだけど、翼竜は矢、溶岩トロルは怪魚として『バルーンファイト』にも登場していたりする(矢はアーケード版のみのギミックだけど)。

 

  基本無限ループゲームで、時間と腕前さえあればいつまででもプレイできる。昔のゲームって、こうだったよね! ただ、復活時の無敵時間はないので、復活→復活ポイントに敵→即座に死亡→復活→復活ポイントに敵→以下略というハマりに陥ることも多い。というか、敵が多すぎるときに死ぬと、大体このループにハマって全滅する。

 

 

 コンピュータゲームの黎明期から発展期に切り替わる時代ともいえる80年代前半のゲームだけあって、粗削りの部分も多い。しかし、それでも多くのゲームに影響を与えた歴史的傑作ゲームだけあって、遊び始めると意外に熱中してしまう。だが、アレンジゲームである『バルーンファイト』のほうが、いろいろな面で面白いという印象を受けてしまうのは否めないところ。そういう意味で「歴史の教科書的なゲーム」として遊ぶのが正解なのかもしれない。

 

 全然関係ないけど、なぜかこの頃のHAL研究所は、すでに技術力のある総合コンピュータメーカー(MSXを中心に周辺機器を多く発売してたんですよ)として評価されていたにもかかわらず、80年代前半にヒットしたアメリカのアーケードゲームを3本も移植しているんですよね(『スター・ゲイト』と『ミリピード』)。本当に、なぜか。当時はすでに『スーパーマリオブラザーズ』や『グラディウス』などがヒットしている状況でこれらを発売したのはなぜだったのか。いまだに疑問が残るところ。

 

 

 そういう訳で2020年5月最初の更新は終了! そろそろファミコンブームを支えた「あのメーカー」のソフトを紹介したいところ! 結果的に、次回も省エネ更新になってしまうけれども……。 

次回「その者、青き衣をまといて金色の野に降り立つべし」でお会いしましょう!