ゲームで適当に遊ぶ

ファミコン中心に、いろいろなゲームを遊んだ感想とか適当に

くるくるくるくる くるくるくるくる

 またもや時間が開いてしまったけれども、なんだかんだで今回の更新で25回目。ある意味節目の回です。25回目にふさわしいタイトルはなにかないか……と考えたところ、あるじゃないですか! 「25」にちなんだゲームが! そういう訳で今回はこれ!

ドルアーガの塔

f:id:ri-syu:20200719065610j:plain

  オリジナルは1984年7月付近(一説によると1984年7月20日)から稼働を開始したナムコアクションRPGで、開発コードは「V-25」ゲームデザインは言わずと知れた遠藤雅伸氏。現在はゲームクリエイターとしての顔よりも、ゲーム研究者としての側面のほうが強い人物です。なんといっても、名実ともに「ゲーム博士」になった人物なのですから! いや、ジョークでもなんでもなく。2020年3月に博士号(工学)を取得なされてるのですよ。ウソいつわりなく「ゲーム博士」と名乗れるというのは、本当にすごいことなんですよ? 自称じゃなくて公式に「ゲーム博士」。あこがれます。

 

閑話休題

 

 ゲームクリエイターとしての遠藤雅伸は、名作シューティングゼビウスを開発した(ゲームデザイン、プログラム、グラフィック担当)のを皮切りに、今回紹介するドルアーガの塔やエネルギーマネージメントが重要なグロブダーなどの開発を手掛けた、80年代中期におけるナムコの躍進を支えた名クリエイターのひとり。退社後は『リターン・オブ・イシター』機動戦士Zガンダム ホットスクランブルケルナグールの開発、ファミコン版『ウィザードリィの移植プロデュース、TCGに携帯電話向けゲームの開発、さらには小説の執筆やピアニストとしてレコード収録に参加したりと、「マルチな才能を発揮」なんていう陳腐な言葉では片づけられない、多方面にわたって活躍している伝説的な人物だ。正直なところ、この辺は自分よりも読んでいる人々のほうが詳しいかもしれない。

 

 

んでもって。

 

 

f:id:ri-syu:20200722034006j:plain
f:id:ri-syu:20200722034011j:plain

 その氏が超大ヒットゲーム『ゼビウス』の次に手掛けたのが、今回紹介する『ドルアーガの塔』。もともとは稼働率が落ちていた『マッピー』をROM交換で再生してもう1回働かせる……というのが目的だったらしく、そこまでヒットを求められていなかったという。そのため、当時の氏が遊んでいたというダンジョン&ドラゴンズ』『ウィザードリィ、インテレビジョン『Advanced D&D』を参考に、「RPGを作ろう!」と決めて制作にとりかかったとか(かなり端折ってます。一応)。そのため、これらからの引用が多数あり、なかでもドルアーガは『AD&D』のサプリメントブック『Deities & Demigods』に掲載されていたキャラクターをもとに作成されたという。そのほか、ギルや女神イシターはメソポタミア神話から(この辺は『FGO』のおかげでかなりメジャーになったか)だし、塔の60階という高さはサンシャイン60ビルからとられていたり。このように、作品のキャラクター面は多数の引用からなりたっているのだ。だからといって、決してオリジナル性が低いゲームではない。むしろオリジナル性が高すぎて、発表から35年以上経過した今もマニアの心をつかんで離さない、ゲーム史に残る金字塔といっても過言ではない名作なのだ(タワーだけに)。

 

 

 BGMもマッピー』『ニューラリーXと並んでゲーム黎明期の傑作といっても過言ではない名曲で、それらをすべて手掛けたのがZUNKOこと小沢純子氏。ナムコ入社後に最初に作った曲が「長すぎてゲームに使えない」と没になってへこんでいたところ、遠藤氏が「だったら、俺がこの曲を使えるようなゲームを作るからとっておけ」と宣言したという。そのゲームというのが『ドルアーガの塔』で、このときに作ったという曲がエンディングとネームエントリー時に流れる曲なのだ。ちなみに、ドルアーガのテーマなど、一部の曲には小沢氏による歌詞がついていたり。この脱力モノの半公式歌詞は、のちに発売したアレンジサントラに掲載されているので、各自確認してほしい。

 

 

それはともかく

 

 

f:id:ri-syu:20200722004547j:plain
f:id:ri-syu:20200722004552j:plain
f:id:ri-syu:20200722004556j:plain

 ゲームとしては、縦画面で横スクロールという、ベース基板になった『マッピー』を踏襲した構造。80年代後期まではよくあったけど、今では存在しないタイプの構造だね。そもそも縦画面ゲームの新作もほとんどないしね……。敵を倒しながら迷路を探索し、カギを使って扉を開けて次のフロアへ……というのがゲームの基本的な流れで、59階で待つ悪魔ドルアーガを撃破し囚われている恋人カイを救うのが目的となっている。

 最大の特徴は、フロア内で特定の行動をすると出現する宝箱。各フロアに1つずつ設定(フロア45だけは例外的に2つ設定)されていて、ドルアーガを倒すために必要な武具だったり、探索を有利にするアイテムが手に入るのだ。しかし、この宝箱が曲者で、序盤は「グリーンスライムを3匹倒す」とか「扉を通過する」など簡単に達成できるものばかりなのだけど、ステージが進むにつれて「そんなのわかるか!」というのが増えていくのだ。たとえば「ゲームスタートボタンを押す」とか「右に7回、左に1回、右に7回レバーを入力する」とか「特定地点を3往復する」とか……。

 

 

f:id:ri-syu:20200722004731j:plain

f:id:ri-syu:20200722022425j:plain
f:id:ri-syu:20200722022428j:plain
f:id:ri-syu:20200722022431j:plain
f:id:ri-syu:20200722022434j:plain
f:id:ri-syu:20200722022436j:plain
f:id:ri-syu:20200722022439j:plain

 ドルアーガを倒すために必要な武具は「ブルーシリーズ」と呼ばれ、特殊な効果を持つものもある。さらに武具は獲るとグラフィックも変わるというのがうれしいポイント。視覚的にも「強くなった!」と自覚できるのは本当にうれしいのだ。リリース当時、RPGで「装備している武具によってビジュアルが変わる」機能が実装されたのは、本作とブラックオニキスぐらいだといわれているけど、真偽は不明。案外、見落としているタイトルが実装してたりするんだよね……。ちなみにギルの画像は初期装備、ジェットブーツ装備、レッドアーマーとシールド装備、ドラゴンスレイヤー装備、ブルーシリーズ(エクスカリバー装備)。武具の色が変わってるのがいいよね。

 

 

 

 

f:id:ri-syu:20200722012456j:plain

 一見理不尽ともとれる宝物の出し方、今までのアーケードゲームになかった世界観、そして高い難易度はゲーマーの心をがっちりキャッチし、100円玉のタワーを築いたプレイヤーたちが連日連夜(当時のゲームセンターは24時間営業だったのだ)攻略に励んだとか。プレイヤー間のコミュニティは発達し、攻略情報を交換し、ときには自分だけの情報として秘匿しながら攻略は進み、遠藤雅伸氏の予想では3カ月ぐらいはかかると思われたクリアも1カ月ぐらいで成し遂げられたとか。

 

 

f:id:ri-syu:20200722021155j:plain
f:id:ri-syu:20200722021201j:plain

 高難易度とはいえ、コンティニューがあるというのはわりと大きいのかもしれない。入手した宝物は所持したままで、プレイを再開できるのだ。しかも、コンティニュー時にはフロアセレクトもできるので、取り逃した宝箱を回収することも可能。まずはフロア2でジェットブーツを入手してからゲームオーバーになり、コンティニューしてフロア1からチャレンジ……なんてプレイをすることも。ちなみにコンティニューをすると、再開フロアをクリアしたときに「(再開したフロア数-1)×20000」のボーナス点が加算される。不当に高すぎるけど、これは当時加熱していたスコアアタックへの皮肉として導入したらしいのだけど、逆に「いかに低い点数でクリアするか」という逆スコアアタックや、ノーコンティニューによるクリアが凄腕プレイヤーの間で流行することになったらしい。これまた、なんともいえない皮肉だね!

 

 

f:id:ri-syu:20200722022911j:plain
f:id:ri-syu:20200722022915j:plain
f:id:ri-syu:20200722022920j:plain
f:id:ri-syu:20200722022925j:plain

 攻略はプレイヤー間コミュニティや攻略情報(宝箱の出し方)などによる共同作業ともいえる部分が大きかったのだけど、のちにこの攻略情報が盗用されて掲載される……という問題が発生したりしたとか。続編の『リターン・オブ・イシター』では、この問題が事件と呼んでも差し支えないレベルに発展するのだけど、それはまた別の話。

 「もともとヒットは期待されていない」ために難易度やゲーム性などを気にせずに開発できた本作だけど、まさかまさかの大ヒットの結果「再利用ではない基板で再生産される」ことになったとか。うれしい誤算ではあるけど、本末転倒だよね。

 

 

f:id:ri-syu:20200722030925j:plain
f:id:ri-syu:20200722030932j:plain
f:id:ri-syu:20200722032217j:plain
f:id:ri-syu:20200722030928j:plain

 主人公は一番左のギル。またの名をプリンス・ギルガメス。天空神アヌより授かった「勇気を力に変える黄金の鎧」を身にまとい、打倒ドルアーガと恋人カイの奪還を目指して塔をのぼることに。名前はメソポタミアギルガメス叙事詩に登場する英雄ギルガメスから。最近は『FGO』のギルガメッシュとして有名だね! というか、あれが金ピカなのは、本作のギルが金ピカだからだよ! テストにでるよ! 覚えておこうね!

 真ん中の2つは巫女カイ。ギルの恋人。イシターの命令でブルークリスタルロッドの奪還を目指したけど、目的を果たす直前でドルアーガの魔力で石に変えられ、捕らえられてしまう。この辺の顛末は、のちの発売する『カイの冒険』で語られることに。ちなみに、名前の由来はシュメール神話に登場する大地母神キから。

 右は女神イシター。カイにブルークリスタルロッドの奪還を命じた無茶振り女神。のちの作品では結構かわいらしく描かれているんだけど、本作ではなんだかよくわからない灰色の塊として登場(ひどい言い草だな!)。ちなみに、彼女のお気に入りスイーツはレストラン「イタリアントマト」のレモンメレンゲパイレアチーズケーキだ。

(間違えていたので修正。レモンメレンゲパイは別のネタだった)

 

 

f:id:ri-syu:20200722005623j:plain
f:id:ri-syu:20200722005626j:plain
f:id:ri-syu:20200722005628j:plain
f:id:ri-syu:20200722005631j:plain
f:id:ri-syu:20200722005633j:plain
f:id:ri-syu:20200722005636j:plain

 敵は9系統。まずはスライム本邦初の「異常に弱いスライム」。スライムがここまで弱くなったのは、『ウィザードリィ』の最弱モンスターの影響だとか。遠藤氏いわく、「日本でここまでスライムが弱くなったのは、ドルアーガドラクエのせい」と断言したとかしないとか。ちなみに、ドルアーガのスライムは決して弱いモンスターではなく、移動中に殺そうとすると返り討ちにあうことも多い。そのため、熟練プレイヤーの間では「最強はスライム」というのは、ある意味共通認識となっている。左からグリーン、ブラック、レッド、ブルー、ダークグリーン、ダークイエロー。レッド以降は移動の瞬間に呪文を吐くこともある。ブルーはドルイドダークグリーンはウィザード、ダークイエローは全種類の呪文を吐くという芸達者っぷりも発揮。確かに剣の攻撃一発で倒せはするけど、最弱ではないよね……と。

 

 

f:id:ri-syu:20200722011035j:plain
f:id:ri-syu:20200722011038j:plain
f:id:ri-syu:20200722011040j:plain
f:id:ri-syu:20200722011043j:plain
f:id:ri-syu:20200722011046j:plain
f:id:ri-syu:20200722011049j:plain

 ナイト。騎士。もともと塔を建設した帝国の兵士を、ドルアーガが魔法で蘇らせた……みたいな設定がある。アーケード版では剣を収納していることもあったけど、ファミコン版はずっと剣を抜きっぱなし。こういうところの節約は重要。剣を抜いた状態で何回か交差すると倒せる。交差するごとに体力が減少するけど、倒すとナイトの最大体力と装備している剣ごとに決められた割合から決められた体力が回復する(いわゆるリカバリーポイント)のだ。左からブルー、ブラック、ミラー、ハイパー、レッド。それとリザードマン。レッドナイトはドルアーガに匹敵する体力を持つ強敵だが、ゲーム的に倒す必要がないというのが面白い。リザードマンは左利きで、そのため左腕に盾を構えるギルの防御をかいくぐって攻撃してくる……という設定がある。なぜリザードマンが左利きなのかは不明。「D&Dのサプリメント『モンスターマニュアル』初版の挿絵が左利きだったから」とか「TRPGルーンクエスト』の竜人ドラゴニュートが左利きだから」とか「対戦型ゲームブックロストワールド』シリーズで左利きだったから」とか諸説あるものの、どれも説の域を出ないのだ。ちなみにミラーナイト、ハイパーナイトはギルの色違い、ブルーナイト、ブラックナイト、レッドナイトは色違いのオリジナル。最初に作られたのはブラックナイトで、ジオングがモチーフだとか。

 

 

f:id:ri-syu:20200722011826j:plain
f:id:ri-syu:20200722011829j:plain
f:id:ri-syu:20200722011831j:plain
f:id:ri-syu:20200722011834j:plain

 マジシャン。魔法使い。なんか設定あった気がするけど忘れた。通路に突然現れては呪文を吐いて消えるというめんどくさい敵。呪文は盾で防げるけど、食らうと即死。つらい。「盾ならば防げる」というのは剣を抜いているときでも成立していて、剣を抜いているときは左側が呪文に対して無敵になる。「側面受け」「オフセット受け」などとも呼ばれる重要テクニックだ。左から白い呪文を吐くメイジ、壁を壊す青い呪文を吐くドルイド、交差点まで飛んで交差点にファイヤーエレメントを発生させる赤い呪文を吐くソーサラー、壁を貫通する緑の呪文を吐くウィザードの4種類。出現には法則があり、その法則を逆用して倒すのがスタンダードな対処法。というか、一瞬でも気を抜くと、すぐに呪文にぶっ殺されるんだ、これが。

 

 

f:id:ri-syu:20200722012303j:plain
f:id:ri-syu:20200722012305j:plain
f:id:ri-syu:20200722023240j:plain

 ゴースト。ギルに倒されたマジシャンの亡霊。壁をワープで乗り越えてギルに接近し、同一通路を行ったり来たりする。マジシャンと違って一撃では倒せないけど、体力はほとんどないので簡単に倒せる。左からメイジゴースト、ドルイドゴースト、ウィザードゴーストの3種類。ソーサラーゴーストがいないのはわずかながらの良心か(交差点ごとにファイヤーエレメントが置かれたら身動き取れなくなるからね……)。なぜか生前と服の色が違うのだけど、これは「カラーパレットの指定ミス」だとか。

 

 

f:id:ri-syu:20200722023814j:plain
f:id:ri-syu:20200722023817j:plain
f:id:ri-syu:20200722023819j:plain

 ローパー。みんな大好き触手くん。左からグリーンハンドローパー、レッドハンドローパー、ブルーハンドローパー。色で性能差はまったくない。剣を抜かないで交差すると体力が最低値になってしまうという能力を持つ。剣を抜いて交差してもリカバリーポイントがないため、ナイトよりも倒すのに苦労する。宝箱の出現条件に関係ないならば、無視して放置するのが正解なのだ。ちなみにファミコン版では色違いが2種追加されているけれども、どこに登場するかよくわからない。そもそもオリジナルとファミコン版では敵の色が微妙に違うので、正解がわからない。どっとはらい

 

 

f:id:ri-syu:20200722024745j:plain
f:id:ri-syu:20200722024748j:plain
f:id:ri-syu:20200722031927j:plain

 ドラゴン。竜。もともとはブルークリスタルロッドの守護者である善なる竜・クォックスのみが存在していたが、ドルアーガによってクリスタルロッドが3分割されたさいにクォックスも3分割され、邪悪な存在に堕とされたという。悪堕ちだ! アーケード版ではドラゴンスレイヤーを手に入れないと倒せないが、ファミコン版では大ダメージを受けるものの初期装備でも倒せるようになっているとか。ちなみに、クォックスは、名作小説『オズの魔法使い』シリーズ第8作『オズのチクタク』にでてくるドラゴンから名前をとられている。あと「クオックス」なのか「クォックス」なのかは、公式でも表記が揺れているのでどっちが正しいのやら……。『カイの冒険』の表記が正しいとするならば「クォックス」なんだけどね……。

 

 

f:id:ri-syu:20200722025136j:plain
f:id:ri-syu:20200722025138j:plain

 ウィル・オー・ウィスプ。火の玉。伝承としては「干し草持ちのウィル」というさまよう霊魂なんだけれども、その伝承を引き継いでいるかは不明。タイマーが赤くなると出現し、一定法則に従って移動をし続ける。ステージによっては、最初から登場していることも。触れると一発死だけれども、対応するリングを所持していれば通過可能。赤は右回り(RedRで右)、青は左回り(BlueLで左)に動くので、壁を壊せば同じ場所でぐるぐる動き続けるだけの存在に貶めることも可能。ちなみに、オリジナル版はギルと同じ速度から4倍速で動くものまでいるけど、ファミコン版はジェットブーツ装備時と同じ速度のみ。そういう意味で、対処はしやすくなってるかも。

 

 

 

f:id:ri-syu:20200722032717j:plain
f:id:ri-syu:20200722032719j:plain

 サッカバス。女悪魔。一般的にはサキュバスとか呼ばれるヤツね。女神イシターに化けてギルをたぶらかそうとする(なので、グラフィックはイシターといっしょ)。普段は石に化身しているけど、扉を通過するとギルをたぶらかそうとイシターの姿で出現する。ここで「イシターだ!」と思って剣を出さずに触れると、数秒後に死ぬという仕組みになっている。ただ、それまでに扉に入るとクリアできるのだ。オリジナル版と異なり、ファミコン版は扉を通過するたびに復活する。このため、何度でも殺すことができたり。あんまり意味はないけどね! のちに発売したPCエンジン版で「ドルアーガを愛しているが彼のやることに反対しており、ドルアーガが改心することを祈っている」という設定が付与された。これはのちに公式設定に採用され、ブルークリスタルロッドは彼女が隠し持っていたのをギルに譲り渡したということになっているとか。でも、ゲーム内で彼女がでてくるフロアで手に入る宝物はルビーメイスだったりする。

 

 

f:id:ri-syu:20200722032838j:plain

 ドルアーガ。ラスボス。すべての元凶。皇帝スーマールが建設した塔によってブルークリスタルロッドの光がさえぎられ、それによって復活した。変化能力があり、作中でもハイパーナイトやウィザード、クォックスに変身してギルに襲い掛かった。ゲームではなんかうにょうにょしたよくわからないモンスターだけど、設定上は一面八臂四足のバケモノ。それぞれの手に強力な魔力を帯びた武器を手にしているため、それから身を守るためにブルーシリーズの防具が必要という設定になっている。ゲーム的にはエクスカリバーブルーシールド、ブルーヘルメット、ブルーガントレット、ブルーアーマー、ブルークリスタルロッドをそろえないと絶対に倒せない(ドルアーガが変身したクォックス・スーパーを倒すためにルビーメイスも必要)。呪文を吐きながら迫ってくる姿はまさに圧倒的なんだけど、このフロアで一番強くて苦戦するのはウィザード・スーパーなので、ドルアーガはまさに「おまけのおまけの汽車ポッポ」状態。出現させるところまでいけるようなプレイヤーならば、特に苦戦することはない……はず。

 

 

f:id:ri-syu:20200722033111j:plain

 ドルアーガがいるフロア59、そして最終フロアであるフロア60で特定の行動をすると、塔から叩き落されてしまう。これが世にいうZAPというやつで、下層フロアに強制移動させられたうえに多数の宝物をロストしてしまうというペナルティが課せられる。このままではクリア不可能(確実に剣が初期化されるため)なのだが、当時のハイスコアラーには「願ったりかなったり」の現象でもあったり。わざとZAPを繰り返してハイスコアを狙う……というプレイも横行し、そのため今でも本作が稼働している筐体には「ZAP禁止」と書かれていることも多かったりする。

 

 

 現在では有志によるプログラムの解析なども終わり、宝箱の正確な出し方や効果、さらには細かい仕様なども判明していたり(くわしくは「ドルアーガの塔 攻略」を参照)。さらには、遠藤氏による一問一答でさまざまなことも判明していたりするのだ(詳細は■邪神の啓示――Voice of EVEZOO END.を参照)。個人的に驚いたのは「迷路はデータとして記録されておらず、フロア数をもとに迷路ジェネレータで自動構築されている」ということ。これにより迷路のデータに容量を持っていかれることなく、多彩な迷路を再現することができたのだ。まさに天才の所業としかいいようがない。日本における「名前で売れるゲームクリエイター」のはしりともいえる遠藤雅伸氏だけど、本当に業績はハンパないのだ。

 

 

 と、ここまではオリジナル版(を収録したSwitch『ナムコミュージアム』)についての内容。画像含めてね(タイトル画面はファミコン版だけどね)。

 

 

f:id:ri-syu:20200719065610j:plain
f:id:ri-syu:20200722034428j:plain
f:id:ri-syu:20200722033337j:plain
f:id:ri-syu:20200722033341j:plain
f:id:ri-syu:20200722033345j:plain

 で、移植版にあたるのが、今回紹介するファミコン。発売はオリジナルの稼働から約1年後の1985年8月6日。『ドルアーガの塔』自体はさまざまな機種に移植されるのだけれども、その嚆矢ともいえるタイトルです。さすがにファミコンの性能では完全再現は無理だったので、いわゆる「タイニー移植」となってしまったが、それでも「ドルアーガが自宅でできる!」という衝撃は大きかったようで、これまた大ヒット。あわせて各社から発売した攻略本もベストセラーとなり、「ゲームの攻略本は売れる!」という認識が出版界隈に根付いたとか(ただ、アスキーから出版された『ドルアーガの塔のすべてがわかる本』以外は宝箱の出し方に間違いが多かった。K社の攻略本とか)そして、この約1か月後に発売する歴史的超絶ヒットタイトルによってその認識はさらに強くなるのだけど、それはまた別のお話なので、いずれまた。

 

 

f:id:ri-syu:20200722033556j:plain

 タイニー移植だけあって、変更点は多かったり。一番の違いは迷路の構造だろうか。オリジナルは2画面9段だけど、ファミコン版は2画面7段とスケールダウンしているのだ。ファミコン版も迷路ジェネレータで作成されているため、似てはいるものの完全に違う構造になっているというのも特徴だろう。これによって簡単になっている部分もあるのだけど、逆に難易度が上昇しているフロアもあるというのが面白い。

 

 

f:id:ri-syu:20200722033722j:plain

f:id:ri-syu:20200722034207j:plain
f:id:ri-syu:20200722034211j:plain
f:id:ri-syu:20200722034216j:plain

 ほかには敵の配置数などの大きな部分から「マトックの効果が異なる(宝箱を取る前後ではなくフロア単位で使用回数が決まっている」点や「バランスの効果が「宝物を正しい性能にする」に変更」、「マジシャンとゴーストの吐く呪文の色が白に統一」など大小含めて本当に多くの変更点があったり。変更点に関してはWikiを見てもらうのが一番として、ブルークリスタルロッドがなくてもドルアーガは倒せる(60階はクリアできない)」ってのはホントの情報なの!? ガセじゃなくて!?

 

 

f:id:ri-syu:20200722035127j:plain

f:id:ri-syu:20200722035131j:plain
f:id:ri-syu:20200722035136j:plain
f:id:ri-syu:20200722035140j:plain
f:id:ri-syu:20200722035456j:plain
f:id:ri-syu:20200722035501j:plain
f:id:ri-syu:20200722035505j:plain
f:id:ri-syu:20200722035536j:plain
f:id:ri-syu:20200722035540j:plain
f:id:ri-syu:20200722035544j:plain

f:id:ri-syu:20200722035553j:plain

 オープニングデモでは間違っていた英語スペルも修正されたり、大小さまざまな修正・調整がなされているファミコン版。しかし、一番の特徴はなんといっても「裏ドルアーガの存在だろう。エンディング画面で表示されるコマンドを入力(コマンドは6-4-3のダブルプレーと覚えよう)すると、タイトルロゴの色が灰色からダークグリーンに変化。以降、宝箱の出し方が通常とは異なる裏面がプレイできるようになるのだ(エンディングも違ったり)。高難易度に拍車をかけたこの追加要素は、オリジナル版をしゃぶるようにプレイしていたファンの心をがっちりキャッチ、オリジナル版にも勝るとも劣らない大ヒットをもたらしたとか。今でも「クリア後に追加される通常と違うプレイができるモード」を裏面と呼ぶのは、この「裏ドルアーガ」の影響といっても問題ないんじゃないかな? さすがに言い過ぎか?

 

 

 んで、もうひとつ。実はあまり知られていないけれども、ファミコン版にはとんでもない裏技が仕込まれている。面セレクトだ。しかも、選択したフロアまでの宝物も獲得できるというオマケつき。やり方は簡単(簡単?)

1:タイトル画面でⅠコンの十字ボタンを上下左右下上右左左右下上右左上と押す

2:Ⅱコンの左とBボタン、ⅠコンのAボタンを押しながらⅠコンの下を押す

3:コンティニューを選び、フロアを選ぶ。

4:フロア選択中にⅡコンのAボタンを押すと、そのフロアの宝物を獲得

5:フロア選択中にⅡコンのBボタンを押すと、そのフロアの宝物を破棄

  4と5については、Ⅱコンのボタンを押しっぱなしにしてフロア選択していれば、いちいちボタンを押す必要がないという便利さ加減。一気に60階まで進めるので、エンディングだけどうしても見たいというときやドルアーガとだけ戦いたい! という欲望をいつでも叶えてくれるうれしい裏技。もちろん裏ドルアーガにも対応しているし、Switch/PS4ナムコットコレクション』でも2プレイヤー用コントローラを登録すれば、このコマンドは利用可能。これを使って君もドルアーガを制覇しよう!

 

 小学生のときはじめてプレイしてから約35年。最初にプレイしたのは友達の家にあったファミコン版だったけれども、今ではすっかりこのゲームのとりこに。『ドルアーガの塔』をきっかけにRPGに興味を持ち、『ウィザードリィ』や『ダンジョン&ドラゴンズ』をはじめとしたTRPGにハマり、そしてそのまま今に至る……と。そういう意味で、人生を変えたゲームは、この『ドルアーガの塔』なのかもしれない。直接的に大きな影響を与えた……というか、人生そのものを変えたゲームは別にあるんだけどね。

 

 

 なんだかんだでゲームバランスはいいとはいえないし、親切からは程遠い宝箱の出し方。いろいろ問題点はあるとはいえ、それでもこのゲームだけが持つ魅力的なポイントは今なお色あせることなく、輝きを放っている。オリジナル版は定期的に移植されるためプレイするのは意外とラクだったけれども、ファミコン版をはじめとした移植作・アレンジ作は移植されないことが多かった(ファミコン版自体は何度か移植されてるんだけどね。悪名高いMSX版もファミコン版の移植だし)。しかし、この前発売された『ナムコットコレクション』には、なんとファミコン版が移植! これで気軽に裏ドルアーガをプレイできるようになったのだ! あとは遠藤氏が「本当にやりたかった迷路の形を再現できた」と評したPCエンジン、ボス戦の導入など特殊なアレンジがされたゲームボーイ版、さらには花と緑の博覧会に展示されたアトラクション版があれば……。

 

 

 思いの深さから、テキスト量がやたらに増えてしまった第25回もここまで! やっぱり思い入れが強いゲームになればなるほどテキスト量が増えてしまうね。致し方ない。次回あたりはさっくりさくさく更新できるタイトルにしたいなぁ……。一応、更新用のストックは3タイトルぐらいあるんだけどね(クリア済み)。

 そういう訳で、次回「知っているのか雷電!」にジャスティーン!