ゲームで適当に遊ぶ

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 またも時間が開いてしまったけど、なんだかんだで23回目の更新! 今回はディスクシステム、そしてアドベンチャーゲーム史にその名を遺すタイトルを紹介。なんだかんだでタイトルと仕組みは知ってても、内容を知ってる人は少ないんじゃないかな? という訳で、今回紹介するタイトルはこちら!

中山美穂のトキメキハイスクール

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  wiki曰く正式タイトルは『アイドルホットライン 中山美穂のトキメキハイスクール』らしいが、パッケージにのみ記載されていてCMやゲームタイトル画面では「アイドルホットライン」の記載はない。なので、正式タイトルは、やはり『中山美穂のトキメキハイスクール』とするのが正しいのかもしれない。

 

閑話休題

 

 ディスクシステム専用のアドベンチャーゲームで、発売日は1987年12月1日。そのせいか、ストーリー中に雪が降ったりする。発売元は任天堂。しかし、パッケージなどには記載されていないけれども、スクウェアとの共同開発だったらしい。元々はファミコン少年探偵団』というアドベンチャーゲームを企画していたところに、スクウェアから『テレホンアドベンチャーという電話を利用したゲームの企画が持ち込まれ、開発に至ったとか(この辺の事情は、社長が訊く 坂口博信×坂本賀勇で語られている)。

 ちなみに元になった『ファミコン少年探偵団』は、のちにファミコン探偵倶楽部と名前を変えてシリーズ化されることに。また、企画提案会議などに参加した糸井重里は、自身が温めていたゲームの企画書を居合わせた宮本茂氏に見せたとか。この企画書のゲームがのちのち『MOTHER』となるのだけど、それは別のお話。

 

 ディスクファクス機能を利用したゲームの第3弾で、シャッターつきの青ディスクでリリースされた本作。ディスクファクスはプレゼント応募のみに利用され、エンディングによってもらえるプレゼントが異なったという。プレゼントはテレホンカードコースと特製メッセージビデオコースの2種類。特製メッセージビデオは、検索すればyoutubeにデータが上がっているので各自確認してね(リンクは貼らない)。

 

 ゲームの"主演"である中山美穂は、当時人気絶頂のアイドル。企画立案当時は小泉今日子南野陽子(どちらも企画当時の86年においてトップアイドルだった)のどちらかで行く予定だったらしいけど、金銭面なのかスケジュール面なのか、とにかく契約にまで至らず、代わりに推薦されたのが彼女だったとか。発売時には名実ともにトップアイドルになっていたので、結果的によかったのかもしれない。

 

 

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 んで、ゲームの話。『ポートピア連続殺人事件』以降、すっかりアドベンチャーゲームの定番になったコマンド選択式で、場面場面に応じて必要になりそうなコマンドのみが表示されるという親切設計。コマンド選択式の欠点ともいえる「総当たりで正解を当てる」という方法を「コマンド選択式はそういうものだ」と割り切って諦めているのは、当時としてはとんでもない決断だったのかもしれない。

 

 本作の特徴として「要所要所で電話番号が表示され、そこにかけると中山美穂からヒントなどが聞けるテレホンサービスと連動している」というのがあった。もちろん現在はそのテレホンサービスは終了しており、ほとんどの電話番号は使用不可になっている。一部電話だけ生きているみたいだけど、当然ながら別の所有者になっている。つながるからといって電話をかけるのはやめよう(なので、電話番号の画像は割愛)。

 

 

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 そして、このゲームの話をするときあまり言及されないけれども、本作にはもうひとつ大きな特徴がある。それが「表情システム」だ。会話選択肢が出たとき、既定の表情を選んでいないと正解にはならないという、なかなか面白いシステム。問題は、ゲーム中にこの表情システムを使う場面があまりこないというところ……。

 

 表情の種類は全部で6種類。wikiには4種類って書いてあるけど、間違いだからね! 説明書曰く、左から「普通の表情」「笑顔」「しかめっつら」「困った顔」「驚いた顔」「ニヤケタ顔」。会話ではいろいろ表情を変えるのだけど、ゲームの選択肢として活用できるのは前半4種類だけ。おそらく、wikiの情報は「この4種類しか使わない」というのが、どこかで「表情は4種類」に置き換わってしまったのだろう。

 

  

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 親の都合でトキメキ学園に転校してきた、中山美穂の大ファンである主人公。隣の席になった山村貞吉(顔がデカい)も中山美穂の大ファンだったため、すっかり意気投合。すぐに親友になった彼に学校を案内してもらっていると、ある少女とぶつかってしまう。彼女の名前は高山みずほ。地味で病欠しがちな眼鏡っ娘の彼女が落としたマスコットを拾った瞬間から、物語は大きく動き始める……というのが大まかなストーリー。

 

 

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 サブキャラは貞吉以外にも、財閥のお嬢様にして学園理事長の娘の清水エリカ(なぜか主人公に一目惚れしてしまう)と、その親衛隊(3人娘)。スポーツ万能、頭脳明晰、そしてかっこいいという"男の敵"である辻正臣。フリーのカメラマンで最近は中山美穂を撮っているという主人公の兄。それから学園ドラマではお約束の校長と教頭。もちろん、これ以外にも随所にモブキャラが登場する。なかでも喫茶店のウェイトレスは、横顔しかわからないけどなかなかかわいかったりする。

 

 

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 要所要所でみずほちゃん……というか中山美穂のバストアップカットが挿入され、「ここが盛り上がるところだよ」という風に教えてくれるのもうれしい。というか、このアップがいいんだ、また。似ているかどうかはともかくとして、ゲーム中で会話しているキャラクターが「トップアイドルの女の子」ということをきちんと意識させてくれる構造。また、引きの画面でも、着ている服にいくつかパターンがあるというのもうれしい(色違いなだけのものもあるけど)。こういう細かい部分でもツボを押さえた作りになっていて、本作が坂口博信坂本賀勇の強力タッグから生まれたゲームだというのが強く伝わってくるのだ。

 

 

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 途中、中山美穂とのデートの約束をとりつけたにも関わらず、清水エリカの誕生日パーティに拉致されてしまったり、映画館で中山美穂といっしょに彼女が主演する映画を鑑賞したり、高山みずほ=中山美穂がバレて大騒動になったり、アイドルをやめて普通の女の子になり主人公の恋人になる……なんて言い出す中山美穂をとがめたりと、短いストーリーのなかに「アイドルと秘密の恋人になる」モノのお約束を意識した展開を詰め込んでいる。なんというか、アドベンチャーゲームのストーリーというよりも、60分ぐらいの80年代アイドル映画のような構成なのだ。とはいっても、80年代アイドル映画はもっとすごいもの(悪い意味で)が多いのだけど。

 

 

 総プレイ時間自体はかなり短く、たぶん3時間もあれば終わるのでは? と思うぐらいの長さ。まぁ3500円という比較的安価、かつアイドルタイアップものとして考えれば、こんなものかもしれない。それでも、選択肢によってエンディングがグッドとベストの2種類に分岐するなど当時としては割と珍しい構造になっていたりと、決して「お気軽な気持ちで作成したお手軽アドベンチャー」ではなかったりするのだ。

 先にも書いたけど、このシステムをブラッシュアップして再構築したものが『ファミコン探偵倶楽部』になったり、実はスーパーマリオRPGに先駆けること約10年前に実現していた任天堂スクウェアのコラボゲームだったりと、ゲーム史的にもはずせない一本だったりもする。遊んでほしい気持ちは大きいけれども、問題はプレイ環境の確保。今後も移植は絶望的なので、稼働するディスクシステムを用意するところからスタートしなくてはいけないというハードルの高さ。つらい。

 

 

 そういう訳で、今回はここまで! できれば6月中にもう1本ぐらい紹介したいところ! さくっと紹介できるアドベンチャーゲームとか、あるいは「クソゲーと名高いものの、ファミコンクソゲー談義のときに名前が挙がることがほとんどない悲運のゲーム」とか……。あるいはナムコットタイトルをなにか……とかね!