また1週間ぐらい開いてしまいました! 基本的に紹介予定のゲームをクリアしてから書いているせいか、意外に時間がかかるんです、これ。もっとさっくりぽんとクリアできるゲームを選べばいいんだろうけどね……。
そういう訳で第14回! 最近、やたら高騰しているこのゲーム!
原作アニメはアンドロイドアニマル=アニマロイドたちが暮らす江戸時代に似たエドロポリスを舞台に、幕府転覆を図る老中コーン守と手下のカラカラ一族から平和を守るため、日夜戦い続ける秘密忍者隊ニャンキーの活躍を描いた、タツノコプロ制作のアクションギャグアニメ。シリーズ構成やメイン脚本は、本作と同時期の『NG騎士ラムネ&40』で一躍名を上げて90年代オタク文化隆盛の一翼を担ったあかほりさとる氏。タツノコでは以前に『天空戦記シュラト』の脚本を執筆し、このあとに『宇宙の騎士テッカマンブレード』を担当することになるけど、それは別のお話。
日本国内では大ヒットには至らなかった(ビデオソフトのセールスが悪くて、放映終了後20年以上経過するまでDVD化されなかった)本作だけど、アメリカでは『SAMURAI PIZZA CATS』というタイトルで放映されヒット。放映終了25年以上経った今でも、直撃世代には人気を博しているとか。その関係か、本作も海外のゲームファンに人気で、テレビ東京系で放映中(2020年4月現在)の『YOUは何しに日本へ?』でも、本作を探しに日本へとやってきたYOUを密着取材したこともあったり。
ギャグ要素満載とはいえ、メカ忍者が主人公のアクションアニメが原作だけあって、本作も横スクロールタイプのアクションゲームに仕上がっている。制作はテクモ(現:コーエーテクモ)。テクモの忍者ゲームといえば何と言っても『忍者龍剣伝』だけど、本作は多くの部分で『忍者龍剣伝』を踏襲していたり。上+Bボタンで忍術の使用とかの基本操作とかね。ただ、対象がアニメのメインターゲットである小学生だったせいか、難易度は結構低め。このあたりで評価を落としていた部分もあった(近年の高騰はゲームの再評価ではない部分も大きいのが残念でならない)。
しかし、キャラクターゲームとしての作りは非常に丁寧。主人公であるヤッ太郎、スカシー、プルルンの3人やメイン悪役のコーン守、カラス幻ナリ斎、カラ丸はいうまでもなく、おタマやお助けメンバーの4人、毎回ミサイルを発射していたおミツ、「島流しじゃ~」の決め台詞で人気を博したウサ姫などのサブキャラクターに加え、毎週毎週同じようなセリフを発していた「あの親子」や鳴り物入りで登場したにもかかわらずほとんど出番のなかったヤミの四人衆なども出演。さらには、タイトル画面などで主題歌(オープニングテーマ)が流れたり、雑魚敵がカラカラ忍軍のメカだったりと、キャラクターゲームでなおざりにされがちな部分もしっかりと作られている。
メインメンバーの3人はジャンプと攻撃、ダッシュ(昔懐かしの「ギャグマンガ走り」になってるのが芸コマ!)の基本アクションに加えて、上+Bボタンで忍術が使える。忍術は忍マークを獲ると1段階ずつパワーアップし、3段階目までパワーアップするとアニメでもここぞの決め技だった必殺忍術が使えるように。必殺忍術は本当に強力で、中盤ぐらいまではボスに2発放つだけで勝ててしまうほど(このゲームの難易度を下げている要因のひとつ)。もちろん連発はできないし、終盤のボスはそれだけじゃ勝てないけど、攻略の大きな助けになることは間違いない。ボスまで忍術ゲージ(忍術を使用するのに必要)を温存できるか……が攻略のカギになっているほどだ。
ちなみにヤッ太郎、スカシー、プルルンの3人は、射程が違うぐらいで必殺忍術の威力を含めて基本的に性能に大差はない。ただ、射程が違うといってもキャラクター半分ぐらいしか差がないので、射程が長いぶんだけ攻撃モーションが大きいスカシーだけ少し使いにくくなっている。こういうところでも不遇なのな、スカシー……。
サポートキャラ(ロックマンでいうところのラッシュ)であるお助けメンバーは土を掘れるゴットン、岩を破壊できるリキノシン、空を飛べるミエトル、水中を泳げるネッキーの4人。HELPエネルギーがないと能力を発揮できないけど、これも時間経過で回復するので、本作に大きな影響を与えたと思われるロックマンシリーズのように「お助けメンバーが呼べなくて詰み」という場面がないというのはうれしい限り。
お助けメンバーはSTARTボタンでいつでも呼び出し可能で、その気になれば最初から最後までお助けメンバーだけでクリアすることも可能だったりする。こんなにお助けメンバーが活躍するのは、アニメ本編でもなかったぐらいだ! というか、ネッキーはアニメよりも圧倒的に出番が多く、ボスによってはネッキーで戦うのが一番ラクだったりする。ああ、まさかこんな形でネッキーにスポットライトが当たるとは……。
これは余談だけど、お助けメンバーのリーダー格はゴットン(ニャンキー4号)のはずなんだけど、ゲーム中ではなぜかリキノシン(ニャンキー5号)が筆頭に挙げられていたりする。この辺、設定に忠実なこのゲームにしては珍しいミスな気がする。
ラウンド構成は基本的に
の流れになっていて、1面クリア後は選択制ラウンド2~4、選択制ラウンド5~7、ラウンド8からは連続ラウンドとなっている(この辺、ロックマンと同じ)。ファミコン後期だけあって、各デモはかなり凝ったつくりになっていて、アニメ本編を髣髴させる完成度を誇る。いや、本当によくできているんですよ? このデモ。
アクションパートはアニメ本編に出てきたメカをモチーフにした敵と数々の仕掛けが行く手を阻む。終盤になると床をスパークが這ったり、定期的に電撃を放つ通路などロックマンシリーズでおなじみの仕掛けも登場。トゲが生えたダメージ床や溶岩なども登場するけど、触れても一発死じゃないのはうれしい限り。というか、ライフが0にならないと落とし穴に落ちてもミスにならない(下に別の通路が用意されている)。こういうアクションゲームが苦手なユーザーに対する配慮ではあるけれども、アクションゲームとしての評価を下げてしまっている一因でもある。
ボスは巨大なメカやカラ丸、ヤミの四人衆。そしてゲームオリジナルキャラクターである悪の天才科学者・Dr.パープル。Dr.パープルは名称からしてちょっと浮いている印象があるけれども、この手のゲーム化作品でありがちな「ラスボスはオリジナルキャラクター」ではないというのは面白いところ。というか、ラスボスはカラ丸なんですよ、カラ丸! あの苦労性の現場指揮官がラスボス! よかったなぁ……。
豊富なデモシーンは見ているだけで面白く、アクションゲームのヘビーユーザーには物足りない部分はあるけれどもゲームとしての作りは非常に丁寧。いつもの親子のやりとりも何種類もあるし、パスワードを間違えるとウサ姫様に「島流しにせ~い!」とおしかりを受けたり。さらにはゲーム中には使えないものの、アニメにおけるパワーアップアイテムだったトリツックンも登場したり、アニメでも印象的だったピザキャット日本橋本店からの出撃シーンも見事に再現されていたりする。主要キャラクターやメカで登場しないのは、猫股霊界之介とニャゴキングぐらいじゃないのか?(そういえばイエッイエッ将軍は出てたっけ? 出てないかもしれない……)。
難易度こそ低いものの、アクションゲームとしてもキャラクターゲームとしても非常に丁寧に作られているのが好印象。ただ、難易度が低めに抑えられているぶんだけクリアまでの時間も短く、慣れているプレイヤーならば3時間もあればクリアできてしまうかもしれない(実際、3時間ちょいでクリアした)。近年はやたら高騰(箱説付きの美品で20Kぐらい)しているけど、さすがにそこまでのゲームではないと思うのですよ。いいゲームだけどね。でも、高騰した結果、脚光を浴びて再評価されたという面もあるので難しいところ。収集している人にはたまったもんじゃないと思うけどね!
そういう訳で、第14回もここで終了! 次に紹介するゲームは「操作感覚が独特の、風船を使ったアクションゲーム」で行きたいところ! てやんでえ!